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ドイツ零年のatsukiのレビュー・感想・評価

ドイツ零年(1948年製作の映画)
4.5
どうしてエドムンドは『Ombra mai fù』を聴いて、目を閉じたのか。「もろもろの観念と人間生活の根底にある道徳観と信仰が崩れ去ったとき、イデオロギーの偏向は犯罪と狂気を創り出す。それは子供の純粋な心も汚染せずにおかない」ということか。戦争の罪。民衆にどんな災害を及ぼすのか。墓を掘る老婆が「死ぬんなら今だよ」と吐露すれば、教師が闇商売に足を踏み外しながら生きていたり、いたたまれない気持ちになる。ロッセリーニがこの映画を亡くなった息子の想い出に捧げていると知れば、その強度はさらに増していくしかない。製作者の労を報おうか。
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