まぬ子

アレックスのまぬ子のレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
4.0
なんつー鬼畜映画…
深夜に再生したのは自殺行為だった。ダメージで寝れなかった…
救いのない題材に、こんな構成や見せ方を組み合わせてくる監督がなによりも鬼畜 笑

原題「irreversible(不可逆)」とだけあって、シーンごとに時間が遡っていく構成。時間と現実の残酷さが助長される。
結末を先に提示し、何が彼をそうさせたか?なぜそんな結末に?という見せ方は、なんだか犯人の動機を探る報道特集みたい。
結果や行為には必ず原因や動機があるけど、遡っていくにつれ切なさが増していく。

とにかく、撮影とライティングが独特で面白い。観やすいかどうかは別として。
撮影はハンディカムかな?
ゲイバーの真紅のライトに、顔の濃い陰影がとても見栄えする。強いコントラストと、酩酊したようなカメラからただならぬ精神状態と怒りが伝わってくる。
カメラの揺れと感情の激しさがリンクするように、過去に遡っていくにつれ、揺れは穏やかになっていく。ラストの温かな赤い灯りとの対比がまた意地悪な演出だよなぁ…

しかしレイプシーンがなっがい。
9分もあったのか…でも体感時間はもっと長かった。意図的にいつ終わるのかと思わされる演出か。
また、レイプが終わってもその後を既に知らされている非情さがまた…
そしてその後の平穏なシーンの悲しいこと。通常の時系列だと、聞き逃しがちな言葉やジョークや細やかな幸せまで心を締め付けてくる。

最後は俯瞰のカメラが、公園のスプリンクラーを中心点に、時計回りにくるくる回って撮影されてたのがなんとも素晴らしい。
目がヤラレそうなオープニングとエンディングの不穏感も秀逸。時系列の遡りを象徴する反転文字、時間が瞬間瞬間のつなぎ合わせだと強調するかのようなフラッシュは好み。

# 116/2018
まぬ子

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