キングジョー

アレックスのキングジョーのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
4.2
『悪行などない 行為があるだけだ』

冒頭 頭を砕かれるのは犯人じゃありません。サナダムシは横で見て笑ってます。
逆転リバースムービーの元祖『アレックス』は、その構成から運命論の是非が問われているように言われておりますが、冒頭のセリフはもちろん、ノエのほかの作品を比較しても明らかに彼は否定の立場をとっています。
これはハリウッドの安っぽい因果応報、勧善懲悪的な道徳観に対するアンチテーゼかどうかは分かりませんが、思想的には仏教以前の六師外道のひとり、プラーナ・カッサパの『アキリヤヴェーダ(非業論)』、いわゆる『空見』といわれるものと合致します。
つまり、ノエ的にはどんな極悪非道であろうが楽しけりゃ何やってもOK〜👌と言いたいのでしょう。逆に言えばどんな素晴らしい行いも全くの無駄という事になります。真面目に生きてる人間からすればまったく胸糞な考え方ですが、それが事実ではないと否定もできないところに、アレックスという映画の素晴らしさがあると思います。