しゅん

旅役者のしゅんのレビュー・感想・評価

旅役者(1940年製作の映画)
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馬という存在から脚、顔、水、虫などの主題がいくつも連携しあう様と、「顔を潰す」のダブルミーニングや突然の小便などが生み出す笑いの技術が重なることで非常に豊かな味わいが生まれている。何の過ちもないにも関わらず藝に真摯な男が行き場所を失う物語はどこまでも悲劇であり、それを喜劇として差し出してしまえる成瀬の力量には改めて唸らされた。リズミカルな音楽の力も大きい。未来予測、フラッシュフォワードの技法にも驚いた。

本作と『鶴八鶴次郎』で藤原釜足の魅力に目覚めました。ほんとにいい喜劇役者だと思う。
ちなみに、日本の踊りは手(盆踊り)、西洋の踊りは脚(バレエ)、アフリカの踊りは腰と形容したのは菊地成孔だったと記憶しているが、日本の藝を扱った本作が脚を主題にしてるところはなかなか面白い。
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