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悲しみは空の彼方にのKeNのレビュー・感想・評価

悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)
3.7
NHK BSプレミアムシネマの録画にて。初見。

「自分を恥じるのは罪です。自分を偽るのはもっと悪い。神のみ業には意味があると知るべきです。肌の色が違うことにだって。」by アニー

ちょっと複雑な設定で物語の展開もかなり目まぐるしいが、人種差別問題をはじめ、 母と娘の葛藤、肌の違いを越えたシングルマザー同士の厚い友情、そして女性が自立していく難しさなど…様々な要素が絡んだダグラス・サーク監督のヒューマンドラマ。
第二次世界大戦中 最も有名な“ピンナップ・ガール”だったらしいが、ヒロインを務めるラナ・ターナーの顔がどうも苦手だったので最後まで今ひとつ感情移入出来なかったけど、保守的な考え方がまだまだ主流の1950年代のアメリカでよくこんなテーマの作品が制作出来たなぁ…と感心してしまう。元々 ドイツ生まれのダグラス・サーク監督は奥様がユダヤ人ということもあり、ナチスドイツの弾圧を避けてアメリカの亡命した方らしいが、恐らくそうした苦い経験から人種差別などを決して許すことが出来なかったんだろうなぁ…。

しかし、クライマックスとなる黒人教会でのアニーの葬儀シーンでいきなりマヘリア・ジャクソンが登場してきたのには本当にビックリした!まさか彼女が出演していたとは…!ここで彼女が熱唱するゴスペルソングの名曲「Trouble of the World」が実に胸に沁みる。アール・グラントが歌う作品のタイトル曲「Imitation of Life」もGood♪
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