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悲しみは空の彼方にのRyuのレビュー・感想・評価

悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)
3.8
娘を持つシングルマザーの無名の女優 ローラは海岸で出会った黒人のシングルマザー アニーを住み込みの家政婦として雇うことになる。

これは自身が親という立場であるかどうかで見方が大いに変わってくる作品なのではないかと思いました。キャラクターがみんながみんな大人だなぁと思うところもあれば、子供じみてると思うところもある。
親ではない自分としてはやはり子供たちの方に同情する思いの方が若干強かったです。親が愛してくれるのはそれは嬉しいことなんだけど、やはり思春期の子供たちにはその愛がうっとうしいこともある。特に、人種問題が絡まればかなりヘビーになってきます。黒人であることを恥ずかしがるな と言われても、見た目は白人だし、理想だけでやっていけるほど世の中甘くない。信仰深さを持つアニーの節操や理想を娘に押し付けようとする姿勢は確かに行き過ぎだと思いました。さらに水商売を片っ端から否定するのもどうかと思います。アニー自身は素晴らしい人で正に聖女なんですが、娘は娘、自分ではありません。それは主人公ローラにも言えることで、煌びやかな生活を与えてやることで子供は喜んでいる と自分勝手な幸せを押し付けるのもう〜んと思いました。だから今作は子供たちの成長もさることながら、親たちの成長も大きなテーマになってるのではないかと思いました。
でもやはりここまで愛を捧げる親の姿勢も素晴らしい。だからどっちの気持ちも分かるのは分かります。だからこそ胸がキューっと締め付けられますし、とても重厚感がある仕上がりになっていたのだと思います。
根強い人種問題、母と娘の愛と葛藤、人種を超えた友情、それぞれの恋などたくさんのメロドラマ要素をふんだんに盛り込みながらしっかりとまとめあげた作品でした。
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