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WASABIのkyのレビュー・感想・評価

WASABI(2001年製作の映画)
2.6
リュック・ベッソンらしさのある挑戦的な作品。
単純明快で強引なストーリーは低評価も頷けるけれど、それ故にジャン・レノや広末涼子を引き立てる効果にもなっているのは確か。


あらすじ
強引な捜査で謹慎を命じられた刑事ユベール。
彼の元へ19年前に日本に住んでいたときに愛した女性、ミコの死を知らせる電話が入る。
そして、日本に着いたユベールを待ち受けていたのは、初めて会う自分の娘ユミだったが…。


感想・考察
リュック・ベッソンらしさのある作品
これまでたくさんの映画を見てきまして、その中でもリュック・ベッソンが製作に関わる作品は特にたくさん見てきました。「レオン」に始まり「フィフス・エレメント」、「キス・オブ・ザ・ドラゴン」、「ルーシー」、「ダニー・ザ・ドッグ」などなど。映画監督といえば多くても10本程度かなという印象ですが、彼が製作に関わった本数は優に50本以上というから驚きです。これも彼の映画愛ゆえなのでしょうか。また、今作では製作と脚本を担当しています。
「レオン」でも書きましたが、今作でも彼の挑戦的な姿勢を強く感じます。というのも、まず”WASABI(わさび)”という日本特有のタイトリング。作中でもわさびが、それとなく物語のポイントにもなります。他にもジャン・レノと広末涼子のコラボレーション。日本の古都、京都と海外を紡ぐストーリーなど。実際、今作は低評価が多いのは事実で、それもわかりますがそれよりリュック・ベッソンの挑戦故の結果です。「失敗なくして成功なし」や「失敗はまさに成功の元」なんて言葉もありますが、彼の映画作りにはそういう挑戦とともにあるような気がします。だから、低評価を受けることもあるけれど、より他の作品が際立つように思えます。特にファンの多い「レオン」はその象徴かと。

シンプルなストーリーは役者を立てる
低評価が多いのは、今作のシンプルなストーリー構成の影響が大きいのかもしれません。それに加え、シンプル故の力任せを感じてしまいます。というのも、ジャン・レノがわさびを丸々食べるシーンや、日本人とフランス人の言語の障壁を無視しているシーンなど、強引な展開は否めません。なので、一般的にいえば確かに薄味なストーリーかもしれませんが、それがジャン・レノや広末涼子をはじめ役者を立てているような気がしたのも事実でした。
実際、人付き合いに疎い不器用ながらもスリリングで鋭いアクションを展開する刑事ユベールを演じるジャン・レノ。青春真っ只中で静かに時を感じる一方で時には感情を爆発させる19歳の少女ユミを演じる広末涼子。物語を程よく緩めるコミカルなユベールのパートナーであるミシェル・ミュラー演じるモモ。彼らの演技が際立つのも、この脚本とストーリーの、むしろ恩恵なのかもしれません。
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