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さらば愛しき大地のENDOのレビュー・感想・評価

さらば愛しき大地(1982年製作の映画)
4.3
冒頭から悲惨な晩餐。息子2人溺死事件と捜索中の激烈な雨!瞳孔開きっぱなしの蟹江のキタキタキタ!というわかりやすいシャブによる白昼の発狂よりも弟へのルサンチマンがどうしても拭えず緑の地平線を虚ろに見つめる根津の瞳が素晴らしい!山口美也子と小林稔侍が豚小屋で青姦するシーンは息子を呼び寄せる霊媒の裏で行われ噴出する背徳的欲情!田園風景の寂しさと灰色の道路の間に存在するスナック『銀座の雀』の密度はまるで蠢く蛆の如し。ドライブイン『レストランニューかすみ』の閑散とした寄る辺なさ。有力者への卑近な接待もスイカを使った格闘も好き。太鼓職人の兄貴もスナックの台湾人ホステスも通り過ぎていく人が印象的。屠殺した鶏のお土産。俯き加減のトラックもいい。秋吉久美子の歌う『ひとり上手』の不安定な旋律と野次の合いの手。80年代の地続きな田舎の現実は海外の映画祭では特異なモノに見えるのか?野蛮ではある。余りにも殺伐とした決着と豚に翻弄される家族!ある意味で日本版緑の地獄なのでした。
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