一夢

処刑軍団ザップの一夢のレビュー・感想・評価

処刑軍団ザップ(1970年製作の映画)
3.8
また一つ、愛すべきお馬鹿映画と出会えてしまった…。愛読している某映画紹介シリーズ本のホラー映画100本特集には、本作の実に惹かれるストーリーが魅力的に綴られていて、いつか観てやる…。と思い、あらゆるTUTAYAを捜索するも、見つけられなかった一本。ニコニコ動画に感謝!

悪魔を崇拝するヒッピーの若者達が、ダム建設の影響で人口が40人に激減した村にやって来て、村娘を襲うわ、敵討ちに来たおじいちゃんにドラッグを飲ませて追い返すわ、廃墟と化したホテルで乱痴気騒ぎを行うわとやりたい放題。そんな荒くれ者どもに目にもの見せてくれようと、ピート少年は狂犬病の犬から血を抜き取り、その血をヒッピーどもの食事のミートパイに混ぜ…という、物凄くそそられるストーリーだ。この後、ドラッグと狂犬病の影響で大暴れをするヒッピー達が村を恐怖のドン底に…落とさなかった。

いや、ストーリー的には村は恐怖で支配されるんだけど、いかんせんBGMと効果音と、トンデモ展開に目が奪われてしまい、思わず声に出して笑ってしまった。突っ込みどころが満載で、簡単に書くと

・BGM
狂った恐怖の集団が村を襲いに来たシーンで、何故かファミコンを彷彿とさせるピコピコ音楽が始まる。

・効果音
昔のアニメでUFOが着陸する時だったり、レーザー光線のSEっぽい謎のフワンフワン音を多用するが、明らかに場違い。

・突っ込みどころ
原題は「I Drink Your Blood」で、お前の血を飲んでやる!的ニュアンスなのに、何故か邦題は「処刑軍団ザップ」。因みに、作中に処刑軍団はおろか、ザップと言う名の登場人物は出てこない。

家を襲う狂犬病患者達が飛びかかっただけで、根元から倒れる壁など、ドリフ顔負けのセットの強度などにも目を奪われる。

医者「狂犬病にかかると、水を恐れて生肉を求めるようになる」
若者「そんな!どれくらいで発症するんですか!?」
医者「よく分からんが、結構早い」
などの、独特の台詞回しのテンポが癖になる。

感染ものホラーということで、ゾンビやバイオハザードに先駆けた内容ともとれるが、勢い一本でホラー映画撮ろうぜ!といった気質も感じられる。撮影現場、めっちゃ楽しそう。ニコニコ動画にて、3分割されているので、是非みんなでワイワイ観てほしい。

追記:発売したての『ジョジョリオン』を読んだら、展開がまんまこの作品と同じで笑ってしまった。併せて是非!
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