オルキリア元ちきーた

クジラの島の少女のオルキリア元ちきーたのレビュー・感想・評価

クジラの島の少女(2002年製作の映画)
3.5
クジラ島の少女

2003(平成15)年 ニュージーランド
ニキ・カ-ロ監督・脚本

パイケア:ケイシャ・キャッスル=ヒュ-ズ
コロ(パイケアの祖父):ラウィリ・パラテ-ン
フラワーズ(パイケアの祖母):ヴィッキ-・ホ-トン
ポロランギ(パイケアの父):クリフ・カ-ティス
ラウィリ(パイケアの叔父):グラント・ロア
ヘミ(パイケアの同級生):マナ・タウマウヌ 他

ニュージーランドの浜辺の村で、一人の女の子が生まれる。
彼女は、生まれた時から「望まれない子」だった。
双子として母の子宮に宿ったが、生まれたのは彼女だけ。
弟は、母親を道連れに天に召されてしまう。
女の子の祖父母は「一族の跡継ぎとしての男の子」を待ち望んでいた。
子供の誕生を心待ちにしていた父親ポロランギは悲しみ、生まれた女の子を置いて村を去ってしまう。

祖父母の元で育った彼女は「パイ」と呼ばれていたが
本当の名前は「パイケア」…彼女を産み、命を落とす直前の母親が与えた名前。
しかしその名は、クジラに乗ってやってきたというマオリ族の伝説の英雄の名前だった。
マオリ族長でもあり後継者の育成に力を入れる祖父のコロは
パイケアを孫娘として可愛がりながらも、伝統を重んじるあまり
儀式やしきたりにしゃしゃり出る彼女に冷たくあたってしまう。
パイケアが12歳になった時に戻ってきた父親ポロランギは、ヨーロッパで彫刻家として名が売れ始めたアーティストになり、ドイツ人の恋人もできていた。
祖父のコロはそんな息子の作品を「単なる土産物」と撥ねつける。
一度は父親と村を離れようとしたパイケアだが
「何か」に呼び戻されるように、村に、祖父コロのもとに留まる事を決意する。
コロは、自分の息子を跡継ぎにすることを諦め
族長として村の後継者候補の12歳の少年(長男のみ)を集めて伝統行事を教え込む訓練を始める。

パイケアは、大好きなおじいちゃんの役に立ちたくて部族の伝統武闘を秘密で訓練したり
歌を習ったりと、頑張れば頑張るほど裏目に出て怒られてしまう。
男中心の村社会では、ただの「お転婆で困った女の子」として扱われてしまうのだ。

族長としての使命を果たす事に必死になる祖父・コロと
そんな祖父の想いを一番身近で親身に感じていながら「女だから」と拒否され続ける孫娘パイケア。

そんなある日「事件」が起こる…

映画の原題は「Whale Rider」ウィティ・イヒマエラの原作を
ニュージーランドの女性映画監督が映画化。
2005年には「スタンドアップ」という映画を作って、シャーリーズ・セロンやフランシス・マクドーマンドを起用してアカデミー賞ノミネートされているが、この作品はその前に作られたもの。

主人公のパイケア役のケイシャちゃんが素朴で初々しくてとっても可愛い。
白人の女の子やアジア系の清純さとは違った、芯の強そうな、それでいて繊細そうで、小麦色の肌のオリエンタルな佇まいがとってもいい!

父親役のクリフ・カーティスはTVドラマ「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」では主演やってる人だけど、全然イケてないお父さん役(笑)

せっかくクジラとか海とか伝統とかルーツみたいなのがテーマになってるのに、海に対する描写が少なすぎて、クジラや海との生活や、部族の現状をそれとなく描写するエピソードなどが乏しく、少し感情移入がしづらいのが残念。

ちょっと悲しくて、切なくて、でも力強く生きようとする少女を応援したくなる良品です。

マオリ族と言ったら、ラグビーのオールブラックスというニュージーランドのチームの戦いの踊りが有名。
ラグビーよく知らないけど、屈強な男達がゴリラの様に胸を叩いて踊る姿は本当に勇壮で萌えます!


追記
レビュー書き終わった後で、何か脳内で引っかかるものを感じて少し整理してみる。
この物語
少女 海 クジラ 部族の伝説の英雄の再来…

私、この物語、もっと前から知ってるぞ!?

部族に伝わる伝説の英雄が部族の危機を救うために再誕する。
その英雄は男ではなく、少女。
そんでもって
海(腐ってるけど)の
鯨(でっかい虫だけど)と
心を通わせて
死にそうになりながらも
奇跡を起こすやつ!!!!

原作は2003年か…ふーむ。