メタ壱

のだめカンタービレ 最終楽章 後編のメタ壱のレビュー・感想・評価

3.8
実写版『のだめカンタービレ』の劇場版・後編にして最終話!
千秋との大きな距離を感じたのだめは明るく振る舞いながらも少しずつ心をすり減らしてゆく。
そんなのだめと千秋の恋はどんな結末を迎えるのか!?

多分のだめは、大学で千秋と出会わず普通に音大を卒業して幼稚園の先生になっていたとしても幸せな人生を送れていたのだと思います。

でも人生にIFはなくて、のだめにはピアノの才能があったし、千秋と出会ったし、彼の事を好きになったし、だからのだめにとってこの人生は唯一の世界。

自分の世界で作り出す“楽しい”の中で生きてきたのだめは恋を通して深く人と関わる事になります。
でも人と関わという事は自分一人の世界の中には居続けられないという事。

そんなのだめの人生に出された課題は全く正反対な生き方の選択。
ピアノの“楽しむ”か“上を目指す”か。

ただのだめは常に、ピアノではなく千秋を中心に物事を考えてきました。
だからのだめはアンビバレントな選択の中で苦悩します。

千秋の傍にいる為に、楽しいピアノを捨てて上を目指すピアノを弾かなければいけない。
そうして見失ったピアノを弾く意味。
苦しみ彷徨ったのだめ。

でもそれらの経験は決して無駄ではなくて、それらがあったからこそ仲間や千秋との絆が作り上げられたし、これからの人生を生きていく大切な糧になると思います。

例えば、クラシック音楽には作曲者の人生が色濃く反映されていて、それを読み解くことがとても大切だと言われています。

きっと音楽家たちは、音符という形で自分自身を五線譜に書き連ね、そうした音を繋げ、自分の人生を音楽として表現し奏でたんじゃないかなと思うのです。

良い事も悪い事も人生にはあるように、音楽にも上下する音程があります。
そして一つの音階だけでは表せない和音がありす。

だからのだめが人と出会い、悩み苦しみ、楽しみ喜んだこの物語りは色彩豊かな旋律になったし、これからどんな事がのだめの人生に待ち受けているのかは解りませんが、例えそれが荒波だろうと穏やかな凪だろうと、彼女は彼女にしか演奏出来ない唯一の音楽を奏で続けていくのだと思います。
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