J四郎

ライフ・イズ・ビューティフルのJ四郎のレビュー・感想・評価

4.1
ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演(!)の言うまでもない名作。
彼が演じるのはユダヤ系イタリア人グイドという愉快なおっちゃんです。

イタリアのある街にやってきたグイドは早速ラッキーなトラブルで”姫”と出会います。この意中の女性にイタリア~ンなアタックで結ばれるまでが前半部分。この公開当時でもめっちゃクラシカルでベタベタなコメディに妙な懐かしさを感じます。

この時からグイドさんは機転が利いて、頭は良いしポジティブな男であることが分かります。なぞなぞ先生とか個性的なキャラクターが出てきて平和で楽しい日々の前半ですが、不穏な足跡がじわじわと近づいている事も描かれている。下らなく思えるネタにも後の伏線が多く張られてます。

後半パートでは彼らには子供が出来ていますが、戦争の時代に。彼らは一家そろってナチ公の強制収容所に送られてしまいます。もう絶望しか無い中なんですが、グイドは息子に「これはゲームなんだヨ!我慢して勝ったら賞品としてなーんと戦車がもらえる!」と愛情溢れるウソをつくんですね。

体力が無さそうな彼は労働中は暑いよ重いよしんどーいと弱音を吐いてますが、子供の前では明るく振舞うのが泣けます。

この映画を最初に観た時、僕は20代前半くらいだったかな?グイドのオッサンは空気を読まん無茶な行動しはるし、ナチの警備もザルすぎやん?そんなん何でバレへんねん?と細かいトコが引っかかり、あまりピンと来なかった。

しかし今回改めて観るとこの映画の良さが分かった。冒頭に成長した息子の語りで、これは彼の幼い頃の記憶を基にした童話のような話とあります。妙にコミカルすぎたり寓話チックなのは幼い彼の見ていた世界だったのかも知れません。その記憶にある父親は愛情深くて頼もしい存在。

ホロコーストを描いているので確かに重いですが、そんな中でも主人公は常に前向きなので比較的観易くもある。年を喰うにつれこういうのには弱くなってきました。間違いなく良い作品です。
J四郎

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