しゅん

ジャンヌ・ダルク/I 戦闘 II 牢獄のしゅんのレビュー・感想・評価

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新文芸坐オールナイト6時間。

高笑うジャンヌ、怒るジャンヌ、叫ぶジャンヌ。ちょくちょく意識が飛んでいたので全体的なことは何も言えないのだが、『裁かるるジャンヌ』の打ち拉がれた悲劇のヒロイン像とは対照的な、活発で勝ち気な女の子像を捉えたサンドリーヌ・ボネールによるジャンヌが何より鮮烈。電池が切れたように失神する演技にはシビレたし、髪を自分で切ってざん切りになったのを鏡で見て微笑むところなんかとても可愛らしかった。そんなジャンヌを映すカメラの動きの滑らかさと奥行きのある構図にも惚れ惚れする。
ハリウッド的な勢いを排除した戦闘シーンは子供の喧嘩みたいで情けなくて笑えてくるんだけど、その中でも人がどんどん死んでいくのはリアルだなぁ。至る所に現れた蝋燭の灯りが、後半になると灯りが消えた状態でしか映されないのは、ジャンヌの人生の流れを象徴しているようで、そう考えると無灯火の蝋燭の位置を意味もなく動かすショットがある種のもがきに見えて切ない。
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