すごいよかった。頭の、無音の海。中心には言葉はない。彼女はささやかな、ぎこちない笑顔をする。しかし、そもそも笑顔とは相手に見せるためだけのものではないはずだし、フォーマットもない。相手のいないところで彼に微笑む彼女の、これが愛なのかな、と思う。これはHANA-BIにも通ずる。この監督らしさを感じる。サーフボードはのるものから、やがて別の様相へと変化していく。例えるなら骨。もともとはごみだった。そしてなんといっても、最後がいい。知らないパーソナリティ、知らないシーン。そしてそれも過ぎゆき、やがてはただ波の音が聞こえる。これは映画なのだろうか？心が震わされるというようなことではなく、地味に、かすかに湧き上がってくるもの。
