りか

ゼイリブのりかのレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
4.1
拾ったサングラスをかけたら人間に擬態した宇宙人が見えた話。国家乗っ取りを企む侵略者、それに媚び諛うエリート層に立ち向かうのは宿無し労働者階級の無職のオッサンであり、黒人だ。(でも指輪してるから家族いるんだよね・・)カーペンター先生は本当にイカした監督だよ。
牧歌的アクションSF映画とかダブルスタンダードもいいとこなのですが、実際見てみると事実そうなのです(真顔)。ホントそんじょそこらの監督じゃこの世界観作れませんからね!
例のくだらないいざこざ勃発シーンもクッソワロタ。尺長すぎぃ!もうあんなん反則で確信犯でしょう。この無駄な尺の長さを楽しめる大人でありたいと強く思いました。

テレビ局のくだり、中島らもの傑作SF小説「ガダラの豚」はこの映画を参考にしたんじゃないかと思ってみたり。

もう見る人によってはクッソくだらなくて、ご都合主義でつまらない映画でしょうけどいんんですこれで。才能とセンス、アイデアが爆発してるから。間の取り方なんか超絶絶妙な塩梅なんですけどね。ちょっとずつ予想を斜め上に裏切っていくスタイルはクローネンバーグ先生を彷彿とさせます。
実はこの地球はすでに人間に擬態した宇宙人に支配されている・・のかもしれないと言う、普遍的、中二病的妄想を全力で体現してくださったカーペンター先生の心意気と漢気に拍手喝采。


序盤のセリフがいちいち後半に効いてくる。

「俺はアメリカを信じてるよ。だからルールにも従う」

でもそれが自分が信じた国家ではなく、侵略者が強いた奴隷制度のルールなら、この手でぶっ壊すまでなのさ!ひゅー!
りか

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