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ゼイリブの白のネタバレレビュー・内容・結末

ゼイリブ(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

作り込まれた仮想の世界設定の上で人間が記号的に消費を繰り返す様子と、それを可能にするイデオロギー装置としてのメディアが幾度も映し出される。合法的支配に対峙する新興宗教やテロ組織といった不服従の部分によって、主人公はそうしたハイパーリアルから覚醒し、<帝国>の権力ネットワークに抗おうとする。帝国の機能条件である電波は不可視のアイコンとして、<大衆>を作りだす。
表面的なリテラシーがあることと、その背後にあるメッセージを読み解くことには落差がある。
ネオリベラルな社会に突入していったアメリカの二極化する過程がブルジョア:プロレタリア=エイリアン:人間の式に映し出され、権力差が克服しがたい原因を国家の条件である暴力の独占(警察)に求める。暴力は映画中で様々に変奏される。
そして文字通り「化けの皮が剥がれた」あとに、何があるのかーそれは描かれない。
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