LalaーMukuーMerry

或る殺人のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

或る殺人(1959年製作の映画)
4.0
殺人事件の裁判もの映画。弁護士(=ジェームズ・スチュワート)と検事(=ジョージ・C・スコット)の論戦がメインの作品。と書くと固い感じがするが、いい感じのジャズがBGMでなかなか面白いサスペンスでした。

事件:妻がレイプされたと知り、相手の男を拳銃で撃ち殺した
被告:陸軍中尉

殺人を弁護する方法は、4つしかないらしい。
1. 殺人ではない(自殺、事故)
2. 真犯人は別にいる
3. 正当防衛である
4. 免責である

この事件の被告人は殺人の事実を認めているので、1,2は無理。3.もこのケースではレイプを知ってから1時間以上経過しているので無理、かえって計画的殺人(第1級殺人)と見なされる。だから弁護士は4.の方法で戦った。つまり、抗しがたい衝動にかられての犯行だったということ。

法廷劇ではいつも問題となる人物像と事実の追求。被告と妻の夫婦関係は?妻は派手な感じのキャラで真実はどうなの? と疑問が頭をもたげ・・・

弁護側は殺人の動機に焦点を当てようとするが、検察はそちらの議論には進ませず殺人だけ議論しようとする。でもそんなわけにはいかず当然ながら動機の議論となり、殺人事件よりもレイプ事件の方に光が当てられていく。

そのせいで、当時(1959)としては公の場で口にするのがタブーだったお下品な言葉が何度も登場して話題となったらしい(性交、精液、オルガズム、パンティ・・・)

観客は主人公(=ジェームズ・スチュワート)に肩入れして見るので、判決にホッとするのかもしれないが、冷静に振り返ってみると、ホントにこれでよかったのだろうか?と、アメリカの陪審員制度の問題点も感じました。