″雰囲気だけは一丁前″だった『ダークネス』のジャウマ・バラゲロによる、どことなくジットリとした味わいがある怪談ホラー。
ただただ、感動した。
こんな質の高いB級スパニッシュホラーがあるとは恐るべきことだ。
フレンチホラーといい、ヨーロッパホラーには時に度肝を抜く秀逸な作品が潜んでいて恐怖すら覚える。
とにかく、思想やアイディアが面白い。
生と死の世界観や、衝撃の過去。
冒頭から発生する″何者″かの存在を匂わせる怪現象と、孤立し老朽化した病院の景観の効果もあり、まずは得意の雰囲気作りを成功させ、この作品の勝利は確実なものとなった。
徐々に明らかになる過去の忌まわしき事件と、単純ながら巧みなミスリードが功を奏するクライマックスも悪くない。
ホラーにしてはビギナー向け、どちらかというとダークファンタジー的。
ホラーから感動へ移行する映画は嫌いではないが、この映画に関しては些か迷いを感じてしまったのは残念でならない。
しかし声高々にして言おう。私はこの作品が好きだ、と。
惜しみない賛辞を贈りたい。