滝和也

ロープの滝和也のレビュー・感想・評価

ロープ(1948年製作の映画)
3.5
ヒッチコックの
実験的作品…。
救命艇の
ワンシチュエーション
に加えて更に…。

「ロープ」

救命艇でのワンシチュエーションから、パラダイン夫人の恋を経て、今回は遂にワンシチュ+ワンカメ+テン・ミニッツ・テイクと言う作品内に流れる時間と上映時間を合せた実験作を送り出した。

テン・ミニッツ・テイクは当時のフィルムの最長時間。つまり、ワンカメによる長回しを巧みに繋ぎワンカット長回しの様に見せる作品としている。昨年流行ったカメラを止めるなをこの時代にやりたかった訳だ。やはりヒッチコックは圧倒的な先進性が素晴らしい。

故にある1室、マンションのスペースのみだけでカメラがパンし、動き、人物たちを追い続ける…。フィルムのつなぎ部分を見つける事が楽しくなってくる(笑) 勿論不自然にスーツの後ろ姿が大写になり、カメラが引くとフィルムチェンジしたと分かるのだが…(笑)

ただ…ヒッチコックの巧さを見せつける技法の作品だが、それで他作と比べて面白いかと言われると…? ヒッチコックは動きのある作品やカット割や編集の妙でも定評があるだけに…物足りないのは事実。無駄に人物をカメラが追っていく故に緩慢だったりする訳で確かに辛い…。80分と言う短編とした理由もその辺にありそうだ、飽きられるから。そして、気付く、舞台でいいじゃないかと。舞台劇を映画化している故に尚更…。確かにカメラを目として引きの絵で奥行きがあったりするし、面白さはあるが、ある意味舞台を見る目をカメラとすれば何処に注目するかで変わるし…(^^)

とは言え徐々に犯人が追い詰められていくシナリオは面白いし、ジェームス・スチュワートを中心とした演者の苦労や上手さ、ロープや箱、ピアノとメトロノーム、タバコ入れなど小道具使いの旨さを見るとやはりヒッチコックは常人ではないと思う。

サスペンスの神様が技法に溺れながらも神様であることを示した作品と言う事で記憶に残りますね(^^)