655321

ロープの655321のレビュー・感想・評価

ロープ(1948年製作の映画)
3.5
ブラントンとフィリップは
「優秀な者は愚者を殺す権利がある」
と考えていた。

愚者として選ばれたデイヴィッド。
しかし映画が先に進めば進むほどデイヴィッドがいかにイイ男か明らかになっていく。
お金持ちで頭が良くテニスを嗜み、更には性格までいいときた。
それはブラントンとフィリップも認めている。

いつからだろう。
彼等が主張する屁理屈は
「殺した者は優性・殺された者は劣性」
にすり替わっていた。
こっちが彼等の偽らざる本音だろう。

ゲイである彼等は生物としての劣等感があったのだろう。(念のため、私がそういう思想を持っている訳ではありません。映画の中での彼等の行動から想像するに、です。)
拭い去るためには「生き残る」ことによって生物としての優性を主張するしかないと自身を追い詰めてしまったのかな。

終盤に叩きつけられる
「人はみな平等だ!」という台詞。

それは彼等の考えを否定し、
そして同時に彼等の存在を肯定する
優しい銃弾だ。
655321

655321