マヒロ

ロープのマヒロのレビュー・感想・評価

ロープ(1948年製作の映画)
3.5
ブランドンとフィリップという二人の青年は、マンションの室内で知り合いの青年デヴィッドをロープで絞め殺す。動機は「完全犯罪を成し遂げることで自分達の賢さを証明するため」という超不純なもので、殺人を犯し死体を隠したまさにその部屋でそのままパーティーを催し、そこにデヴィッドの恋人や父親、共通の知人である学生時代の恩師ルパート(ジェームズ・スチュワート)を呼び込むが……というお話。

「全編ワンカット」映画の元祖……なのかな?不自然に背中のドアップになったりして編集を誤魔化しながらのワンカット"風"ではあるけど、殺人が実行されてから結末までの間をほぼリアルタイムで描くという手法はシンプルに緊張感があって良かった。気付いたら窓の外の空がどんどん暗くなっていくところとか、さり気ないところで時間の経過を意識させるやり方がなかなか上手い。

カット割りの少なさもそうだし、殺人を題材にしたサスペンスで最も重要といっても過言ではない動機が犯人にはほとんどあってないようなもので、更にはランタイムも80分とかなり短くシチュエーションも一つの部屋のみと、無駄な要素はほとんど排除し、とことん贅肉を絞ったかのようなシャープな印象。故に物足りないところもなくは無いんだけど、小品としては十分面白い、ヒッチコックの凄みも垣間見える良作だった。

(2020.90)
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