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北斎漫画のkoyamaxのレビュー・感想・評価

北斎漫画(1981年製作の映画)
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葛飾北斎の生涯。

富士山に波ざっぱーんの「富嶽三十六景」や「北斎漫画」。北斎といえば、すぐに思い浮かべることができる有名な絵ばかり。春画も有名だったりします。

中でも元祖触手エロの「蛸と海女」。
それをを映像化しているということで、どんな奇想な世界を描くのか?
とそこにわくわくしたのですが、、

映画としては、葛飾北斎を紹介する全編があらすじという感じで、なんというか、全体的に熱気とムードに乏しい映画でした。。

独創的な希代の浮世絵師、その精神性にも触れたかったのですが、そこまで掘り下げらえていたかというと、個人的には疑問が残りました。

蛸が動く。妖艶な女が脱ぐ。そうでない女も脱ぐ笑
とか、そういった部分ではキャッチーさはあります。

ただ、被写体を動く画にしたらこうなった。という以上のエモーション、もとい、エロさを感じ取れなかったところが、残念です。

女性や春画の映像化に限らず、撮影全般も一通り撮りましたという印象をぬぐえませんでした。

富嶽三十六景を書きに富士山に行くくだりがあるわけですが、この富士山も景色としての富士山でしかなく、、。
富士山は見たまんま富士山なので、文句をいってもしょうがないのですけど、富嶽三十六景ですから、「富士」というか「富士!!!」という画がみたいじゃないですか(^^;)
北斎がそうしたように、ファンタスティックでワンダフルな主観によって大化けしたマウントFUJIをみたかったのですよ。。

上記は例の一つですが、その印象は他のシーンでも同じです。
マスターショットをひとつ撮って、今セリフをしゃべっている人だからバストショットいれた。ぐらいな感じでカットごとの演出の必然性というのも、個人的にはあまり分からず、わくわくできませんでしたorz

駆け足展開で不明瞭に感じる部分もあり、、「才能と老い」という普遍的なことを主題の中心において、興味深いセリフもあるのですが、それを裏付けるような画がなく、言葉だけで流れてしまったところも感じました。。ファムファタール、馬琴との友情、娘とのつながりなど、身近なひと通りの事象が描かれますが、それが裏目で北斎だからこその苦悩や人生というところまで掘り下げるまでに至っていない気がしましたね。

「海女と蛸」だけでもエロく偏執的にあつかってくれれば、、

タコの顔はよかったです。
ただ、質感がパサパサしているので、そこは底本通りぬるっと質感が観たかったです。

いろいろ言ってしまったものの、単純に「蛸と海女」のそこがエロくなかったから悔しいってだけのような気がしてきました。。(^^;


蛸以外のみどころとしては、
これでもかというくらい、樋口可南子、田中裕子は脱ぎます笑

そして西田敏行と田中裕子の後年のやり取り。ここは色々な意味で驚愕しました笑
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