「ジェイソン・ステイサム」と「ジェット・リー」の贅沢な無駄遣い。
今から12年前(2019年時点)の作品とはいえ、2007年といえばまだ親近感が湧くくらいには"ほんの少し前"のような感覚で見始めたのだが、こと日々進化の目まぐるしいアクション映画ともなると、ダサさここに極まれりと言わんばかりに、映像や演出が"古臭い"超絶ダサダサムービーとなり果てていた。
まず何がダサいかというと、その当時流行っていた"ある撮り方"が特にダサい。
言葉にして伝わるか不安だが、回想のようなシーンに入ると突然フラッシュが一瞬焚かれ、手ブレやズームを多用したような画面に切り替わり、色んな映像をコマ送りのようにブツ切りにして繋げたような"フラッシュバック"がしつこくカットインしてくる。
今では滅多にお目にかかる事もなくなったからか、かなり"時代"を感じる手法で、今にして思うとなんかめっちゃダサく感じてしまう。
もちろん、それだけでダサいなどと野次る程僕はアンフェアな人間ではない。
そもそも論として、この映画自体がどう考えてもダサいのだからそう言わざるを得ないのだ。
今作は、アメリカを拠点に活動する「中国マフィア」と「ヤクザ」そしてそれを取り締まろうとする「FBI」とその裏で暗躍する「伝説の殺し屋」との四つ巴の抗争を描いた作品なのだが、やはりハリウッドが日本描写に手を出してはいけない事がよく分かる内容となっている。
「石橋凌」などの日本人俳優もちゃんとクレジットしてきた気概は十分に買うが、そもそもが銃社会であるアメリカの真っ只中で日本刀をコワモテお兄さん達が必死に振り回す姿はどう見ても滑稽にしか映らない。
さっきまでバンバン銃を撃っておいて、思い出したように突然距離を詰めては、いきなり日本刀で応戦しようとするなど、展開への整合性もリアリティも欠いてしまうばかりで、カッコいいからやりたくなるのは分かるが、"バカ映画"と卑下されたくないのなら下手に手を出していいものではないのだ。
また、日本人だから感じる違和感は計り知れず、茶屋で宴会を始めるヤクザ達には「なんでお前らお茶屋さんで?」と思ってしまうし、その茶屋の名前が「さゆ茶房」となっていて、ん?さゆってあのさゆ?と思っていたら、店内の暖簾にしっかりと「白湯」と書かれている。
わおっ!奇抜なネーミングセンス!!
一周回って素敵だな!!
そして、宴会に集まるヤクザ達の会話
「おお!久々だなぁ、まだ死んでなかったか!」
「お前もな!」
「それにしてもあれは美味かったよなぁ!」
「ピリ辛ツナか!」
「ガッハッハッハッハ!!!」一同大爆笑
《ピ リ カ ラ ツ ナ!!!!!!!》
ちょっと待てピリ辛ツナのなにが面白いんじゃい!!
ほんでヤクザのくせにやけに質素なもん美味しがっとんな!!!
日々危ない橋渡ってんだから親父にもっといいもん食わせてもらえや!!!
ツナ缶ピリ辛にさして「うまぁ!」ハフハフッちゃうわ!!!
そして、その数分後警察と中国マフィアによって皆殺し。
最期のお笑いがこんなのってあんまりだろ!
そして、一番度肝を抜かれたセリフが、ヤクザのボス「シロー」が放ったこの一言だ。
※よく覚えていない為セリフはニュアンスでお届けします。
シロー「まるで戦国時代に逆戻りだな…様々な武将が群雄割拠するなか、天下統一を成し遂げた男の名を知っているか?」
『織田信長だ。』
《お だ の ぶ な が!!!!!!!》
そら、部下に謀反起こされて死ぬわな。
「お、こいつ馬鹿じゃん、やっちまお」ってなるもん。
しかもこのセリフを石橋凌が言ってると思うと、いくらなんでもハリウッドに迎合しすぎやろと顔が引きつった。
それと、この当時色んな作品に出ていた「デヴォン青木」だが、今その姿を見ると何故だか異様にダサく感じる。(単純に失礼。)
しかも、結構な大根っぷりだし顔面に表情が無いからまるで能面のようじゃねえか。
えー、デヴォン青木ってこんな見事にダサかったっけ??(単純に失礼。)
一番肝心のジェイソン・ステイサムとジェット・リーもあろう事かアクション要素が控えめ。
この顔ぶれでこの淡白感は期待はずれにも程がある。
物語の核となるトリックも、伏線などそっちのけでダラダラと物語が展開したせいで突拍子の無いオチだったし、ジェイソン・ステイサムを最後の最後に落ちぶれさす必要性が全く無く、ラストで輪をかけて悪い方へと転がっていった感じ。
無情感を演出したかったのかと思いきや、ラストカットがスポーツカーで颯爽とブリッジを渡るジェット・リーの映像で締めくくられるなど、情緒もクソもへったくれもない終わり方だった為、一体なにをしたかったのか最後まで分からない作品であった。
あぁ…なんだかなぁ…。
ん?でもこの感覚こそ「無情感」ではあるのか。
…て、別に上手くねえわ!!