Aika

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独のAikaのレビュー・感想・評価

3.7
クラシックファンだけではなく幅広い層に人気の高いピアニスト、グレン・グールドのドキュメンタリー。

前衛的なバッハで一躍話題となった彼は、床からわずか30cm椅子に座り、穏やかな陶酔の世界へ観客を誘う。

躍動するリズム感、特有の叙情性。
全てを一度分解して再創造したかのような演奏は、よく知っている曲でも初めて聞いたかのような新鮮さ。

本人は亡くなっているのでこのドキュメンタリーのために撮影された映像はなく、生前のフィルムや写真を繋ぎ、当時の彼をよく知る人物たちのインタビューを交える方式。(バーンスタイン等超大物達が出てくる!)

それでも稀代の天才と呼ばれたピアニストの様々なエピソードは興味深かったし、変わり者として知られたグールドだがとてもユーモラスで可愛らしい一面もあったことがわかる。

声楽の教師だった母にピアノを習い始めたとき、右手はピアノ弾きながら左手の旋律は歌うという練習法だったためハミング癖が永久に抜けなかったと知り、私もその練習ずっっっとバッハでやってた!!と興奮した。
でも私はいつも歌が弾いてる方につられて、先生に怒られたなぁ…


ピアニストとしての彼は31歳でコンサート活動を引退し、その後はレコード録音やラジオドキュメンタリーを作成していた。
50歳で死ぬと言い続け実際その歳で亡くなるまで、精力的に活動し続けたグールド。
愛に見放された晩年は寂しい。

今作を観てから片っ端から彼の録音を聴いてるけど、その斬新な奏法と大胆な解釈に飽きることはなく、もはやピアニストの枠を超え作曲家グレン・グールドだったのかもしれないと思う。