カラン

クリムゾン・タイドのカランのレビュー・感想・評価

クリムゾン・タイド(1995年製作の映画)
4.5
白熱の演技。

潜水艦の中で、2人の役者がセリフをかけあう様を観るのは、まるで下北沢の小さな劇場のようである。役者の汗や唾が飛んで来そうな距離感を維持しながら、デンゼル・ワシントンとジーン・ハックマンの激しいぶつかり合いが、全編で展開される。

ジーン・ハックマン演じるアクの強い叩き上げの艦長が、デンゼル・ワシントン演じるハバード卒の正義感の強い好青年に、存在を否定するような言葉を何度も叩きつける。

We are here to preserve democracy, not to practice it.
我々は民主主義を守るためにここにいるのであって、民主主義を実践するためにここにいるのではない。

狭い潜水艦の中で状況がいっそう緊迫する。ジーン・ハックマンがデンゼル・ワシントンの鼻を殴る。鼻血がでる。デンゼル・ワシントンは堪える。もう一度殴る。デンゼル・ワシントンの切れ長の目が毅然とジーン・ハックマンを見返す。

男たちの熱い演技。キューバ危機のような一触即発の緊迫した設定で、潜水艦。中国が海軍を増強し、南シナ海でアメリカとにらみ合う今という時代こそ、この映画を観るべきなのかもしれない。

いや、状況は関係ない。何度観ても熱い気持ちになり、ストーリーが分かっていても引き込まれる、素晴らしい演技だ。
カラン

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