垂直落下式サミング

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

1.5
最近は『沈黙ーサイレンス』や『甲殻機動隊』など、日本に関連付けた外国作品が多いが、本作の公開当時には、『カンフーパンダ』や『ベストキッド』など、やたらと中国が舞台の映画が増えた時期だった。オリンピック招致にあわせたマーケティングだ。
それらの作品は企画優先になりがちで、その国が舞台である必然を打ち出せないと、映画として鼻持ちならないことになる危うさも持っている。本作はその最悪の例だ。
まず、中国とはなんの関係もないハムナプトラシリーズの続編というのが、もうテキトーすぎる。今回はエジプトもミイラも関係ない。レイチェル・ワイズも出ていないのでシリーズの華もない。
さらに酷いのが、大ボスを演じるのがジェット・リーだということ。彼がどんなに極悪皇帝を憎々しげに演じても、やはりジェット・リーはスターであり、紛れもなくジェット・リーなのだ。まったく悪いやつにみえない。この役柄のマッチしなさ、物語上の美味しくなさからも、ムリヤリ作った映画だということが強調されてしまう。
しかも、コイツはキングギドラやキングコングなど怪獣の姿に変身して戦ことができるのに、主人公に「コスプレは飽きたから生身で勝負しろ!」と言われると、素直に申し出に応じて人間に戻る。バカすぎる。魔術パワーの源を奪われたことで殴り合いになるとかならわかるんだけど、これではただのお人好しだ。
バカな奴がバカな戦法でバカな敵を打ち倒すみたいな話は、ハムナプトラでみたくなかった。
ハムナプトラシリーズとしても、中国アゲ映画としても、空前絶後の大失敗作。何がどうしてこうなった。もう一回続篇やるならエジプトに戻ってくれ。