しぇんみん

プラダを着た悪魔のしぇんみんのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.0

自分にとって本当に大切なものを見極めるということ。

大学を卒業し、ジャーナリストを目指すためニューヨークへ出てきたアンドレア・サックス。

彼女は、世の女性憧れの仕事、ファッション雑誌「ランウェイ」の編集部へ、幸運にも就職することとなる。

仕事は、編集長ミランダ・プリーストリーのアシスタント。

ファッション業界の重鎮であるミランダは、公私ともに身の回りの世話をアシスタントに押し付け、その横暴さにこれまで何人ものアシスタントが辞めていった。

ファッションに疎く興味もなかったアンディだが、ジャーナリストへの足掛かりの職として、彼女のパワハラに耐え仕事をこなしていくのだった...。

雑誌の編集部にアシスタントとして入社した女性の成長譚。

映像的に印象に残ったのは、出勤途中にアンディの服装がパラパラと変化し、何パターンものコーディネートが見れるシーン。

ファッション雑誌の特集を観ているようで、男の目からも楽しい描写だった。

横暴な上司に反感を持ち、「私はこんなに頑張っているのに」と愚痴をこぼしながら仕事をするアンディ。

そんな彼女に、心を許した同僚ナイジェルから「君の考えは間違っている」と指摘され、ハッと気付く彼女。

腰掛気分を改め、ファッションのことを真剣に勉強し始めた彼女は、仕事内容も周囲からの評価も、そして私生活までも変化し始める。

自分が「頑張っている」と思っているうちは、その「穿った思い」も態度に現れ、周囲も評価しない。

「本当に頑張る」とは、与えられた仕事(以上のこと)をきっちりとこなしたとき、初めて評価されるものだ。

これは男女問わず「会社員の哲学」として言えること。

この辺の描写が男女問わず好かれる物語の理由なのだろう。

そして、彼女の仕事内容が好転し、私生活が悪化し始めた頃。

他者を蹴落とし私生活を放棄して初めて成功する業界だと知ったアンディ。

彼女は、ミランダとは同じ生き方が出来ないと悟る。

二人が袂を分かつこととなったラスト間際。

生活を改めようと奮闘するアンディのもとに、ミランダからのささやかだが大きなプレゼントがもたらされる。

このとき、観客は爽快感に包まれるだろう。

是非とも自分の目で確かめてほしい。

ハナマル!

2018/12/02
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