mh

サラエボ、希望の街角のmhのネタバレレビュー・内容・結末

サラエボ、希望の街角(2010年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

現在のサラエボを舞台にした恋愛ドラマ。
身近な人がイスラム教原理主義者に転向してしまったらというテーマで、フランス映画「見えない太陽(2019)」と同じ設定。
ただ、転向する過程がこちらはリアル。
アルコホリックで生活に支障が出る。でも禁酒セラピーには(そこに通っている面々が気に食わないため)通いたくない。
そんな折、同じ部隊にいた、イスラム原理主義者と出会ってしまう。
自身もイスラム教ではあるけど、イスラム原理主義者にはついていけない主人公だったが、妊娠していることが発覚し……。
役者さんがすごくて、序盤はイケメン伊達男なのに、中盤以降はいかにもムスリムという佇まいになっている。メイクさんもすごいのか。
このあたりのイスラム原理主義者は、女性が車を運転するのはオーケーなのかと変なところに感心する。「オフサイド・ガールズ」とか、「少女は自転車に乗って」とか黒旗のところ(中東のあたり)は確かだめだったはず。
バーでのくだり、キリスト教うんぬんあたりが、現代のサラエボなんだろうね。紛争後にようやくムスリムとキリスト教信者が共存できる世界がやってきたのだった。
だからこそ、また紛争時代に戻ろうとしているイスラム原理主義者はよくないというロジックはよくわかる。
どうやら紛争で亡くなったっぽい主人公の母親だが、同監督の前作「サラエボの花」みたいな裏設定があるのかもしれない。
仕事場である旅客機に乗り込む前に振り返ってなにかを見るラストカットがかっこいい。
同僚が紙コップを間違えるというアル中がバレるくだりとか、主人公がセルフィーを取る習慣とか、細部も凝ってる。
この映画もかなり面白いけど、「サラエボの花」がすごすぎるんで、これ見たかたで未見だったら、ぜひともそちらも抑えてほしいと思った。
面白かった!
mh

mh