Jimmy

旅の重さのJimmyのレビュー・感想・評価

旅の重さ(1972年製作の映画)
4.5
高橋洋子(新人)の熱演が見られる斎藤耕一監督作品。

音楽担当が吉田拓郎であり、冒頭から流れる曲『今日までそして明日から』(♪私は今日まで生きてみました……)を聴いた瞬間に「この映画は傑作だ!」と思ってしまった(笑)
拓郎が音楽監督をしているので、曲はレコードに収録されていた歌い方と違っていた気がする。

さて、物語は、16歳の少女(高橋洋子)が四国巡礼の「旅」に出る。お遍路さんになって歩きまわる。
もともとは、男出入りの激しい母親(岸田今日子)を好きな少女なのだが、旅に出た。

その「旅」を通じて、役者稼業の者たち(座長は三國連太郎)やその役者の中の女優などとの触れ合い。特に、その女優と一緒に、海で泳ぐ場面などは、高橋洋子は新人であるにも拘らず、裸体を堂々と見せている。バストも。女優魂を感じる。

更に、栄養失調だか疲れだかで倒れ込むようにして「旅の重さ」を感じていた時に出会ったのが行商人の男(高橋悦史)。この男、高橋洋子の看病をしながら一つ屋根の下で寝泊まりするのだが、結構ストイックだったりするのだが……。
最後は、二人は「夫婦もどき」の生活をして、物語は終わる。

この映画で、特筆すべきは「高橋洋子と道端で立ち話をする秋吉久美子の場面」である。
非常に印象的である。
予告編を見ると、「2000人から選ばれた高橋洋子(新人)」の文字が見られるが、このオーディションには秋吉久美子も参加していて、この2人が最後まで争ったとのこと。
新人公募で最終選考に残った二人が、高橋洋子と秋吉久美子というのは凄い!

斎藤耕一監督は、この映画の翌年、あの『津軽じょんがら節』を発表することになるのだが、斎藤監督はこの『旅の重さ』では四国の美しい風景の中で遍路旅する16歳の少女を描き、翌年は津軽の吹きすさぶ風景を撮影して、ノリにのっていた時期に撮られた映画。
実に、生き生きと人物が動き、美しい風景とあいまって、なかなかの佳作となった。
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