河志麻二十日

無法松の一生の河志麻二十日のレビュー・感想・評価

無法松の一生(1958年製作の映画)
4.1
1943年版は拝見しておりませんので、比較のようなことは出来ませんが、普通に現代人の私が観ても、古臭さで映画に飽きるようなことは一切なく、映像もキマってて、はっきりとしたことは分かりませんが、恐らく当時としては画期的な映像も多々あったのではないでしょうか。非常に面白かったです。

やはり三船敏郎の映画を観ると、こんな人になりたいなぁと、ただ純粋に憧れます。三船敏郎は「憧れる役」を上手に演じてくれます。

個人的に本作で一番好きな場面は、高峰秀子が三船敏郎に一人息子の呼び方を「ぼんぼん」ではなく「吉岡さん」とでも変えてほしいというところです。今まで散々お世話になって、育ての親同然なのに、赤の他人とでも言わんばかりに「吉岡さん」と呼んでほしいなんて、ちょっと高峰さん、酷いじゃないですか。あの時の三船敏郎の顔、観ていられませんよ!ただ、この顔がなんとも言えない表情で、私としてはたまらんのです。息子と亡き夫の為に後家を通す心の強い女性と、彼女とその子供をひたむきに愛する豪快で少し不器用な男。なんていうか、ノスタルジックでありながら、普遍的でもあり、色褪せない名作とはこの映画のことを言うのだと思いました。