sonozy

無法松の一生のsonozyのレビュー・感想・評価

無法松の一生(1958年製作の映画)
4.0
九州・小倉で「無法松」と呼ばれた人力車夫の松五郎の一生。
1943年公開の『無法松の一生』では、内務省とGHQによる検閲で約18分もカットされてしまい、稲垣浩監督がその無念を晴らすためセルフリメイクした本作は、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。(英題は『Rickshaw Man(人力車夫)』)

無学文盲で貧しい一人暮らしの松五郎(三船敏郎)は、豪放で喧嘩っ早いが、気風が良く人情味溢れる男。
ある日、ケガをした少年 敏雄を家に送り届けた事から、少年の父、吉岡小太郎に気に入られ家に出入りするようになる。
だが、吉岡は病をこじらせ、妻よし子(高峰秀子)と敏雄を残し急死してしまう。
よし子は、気の弱い敏雄を鍛えてほしいと松五郎を頼り、松五郎は二人に献身的に尽くしていく。。

家族のない松五郎が得た家族のような日々。父代わりとなった敏雄の成長。
身分の違うよし子への想い。

小倉祇園太鼓の日、夏休みのため先生を連れて帰省した敏雄と久々に再会する松五郎は、本場の祇園太鼓を聞きたがっていた先生のために山車に乗ってたくましく太鼓を打ち、町中にその音が響く。

吉岡家を訪ねた松五郎はよし子への思慕を打ち明けそうになり、その場を去る。。
そして、切なさ溢れるラストへ。三船敏郎の名演が沁みる名作です。

人力車の回転する車輪と回想シーンのオーバーラップで、時の流れや老いていく松五郎の人生を幻想的に表現しているのが効いてます。
sonozy

sonozy