スズキ

無法松の一生のスズキのレビュー・感想・評価

無法松の一生(1958年製作の映画)
3.7
映画としてはイマイチなんだけど、ラストの展開が良かった。
タイトルからして、死ぬところまで描くのは容易に想像つくけど、このむごい展開は予想できなかった。

しかし三船敏郎って、今なら国民的人気は獲得出来なかっただろうな。粗暴さ、野生味みたいなのを武器にして主役級になってる俳優、今だとあんま思いつかない。脇役ならいる。

なんで粗暴さが人気になるのかは本当に謎だな。今作も粗暴さは冒頭だけに集約されてて印象としては薄いんだけど、振る舞いとしてはあまりに酷いし(客席内で七輪でニンニクとかを焼いた挙句に客席の破壊行為)、映ってないところでの振る舞いを想像すると、全く好きになれない。無法者に憧れる時代、よっぽど市民が抑圧されてたのかな。しかもこれ見た上で三船敏郎の役をいい人とか言ってる奴は正気なのか。何を見てたんだよ。ヤクザじゃん。あんな奴が近所にいたらと考えるとゾッとした。

息子が喧嘩するシーン、なんで喧嘩してんのかよくわからなかった。

人力車で放置されて、遠くで怒ってる人、意味不明だったけど、あんなので笑いがとれた時代もあったんだな。無の感情で見てた。

演技がみんなめっちゃ下手というか、マイク技術の未発達な時代に必要とされた発声で喋ってる。その違和感はあった。

高峰秀子はめちゃくちゃ美人。

無法者の松がある子持ちの母に恋をするも果たせぬまま野垂れ死ぬ話。

午前十時の映画祭にて。
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