るい

無法松の一生のるいのレビュー・感想・評価

無法松の一生(1958年製作の映画)
4.0

三船敏郎版まっつんの物語🍶


坂東妻三郎版「無法松の一生」(1943)に引き続き午前十時の映画祭で鑑賞

当作品は稲垣浩監督のセルフリメイク
ベネツィア映画祭で金獅子賞を受賞

脚本は一緒なので進行やセリフはほぼ一緒。1943年公開時は、戦時中の日本政府やGHQからの検閲によりカットされたシーンが多かった為、フルバージョンで作り直したんだと思う。

これが監督が皆に見せたかった「無法松の一生」だったんですね。ほんととっても良かったです。

近所の子供を助けた事からその家と交流が生まれて、そこのボンの育ての父のような存在になりその家の未亡人に淡い恋心を抱きながら生涯を終える。そんな松五郎の一生を描いています。

坂東妻三郎さんの演じる松はどこか可愛らしさのある憎めない松五郎でしたが、三船敏郎さんが演じる松五郎はもっと男臭くて泥臭い感じだった。どちらが良いとかではなくて、それぞれの持ち味があってどたらも間違いなく松五郎だった。

坂東妻三郎版では、未亡人との恋愛はその時代にそぐわなくて全てカットされていましたが、三船敏郎版では復活。でも、恋愛と言っても人間を愛するという点ではどちらも愛に溢れた作品でした。

未亡人のよし子さんが息子の敏雄に「松五郎さんは、生れつき運が悪かったので、俥なんか引いておられるけんど、あの人がもし軍人だったら…」のくだりはめっちゃ好き。育ちではなく、結局は生まれがその人の一生を左右する。この一言よくわかってるなって感じがする。

三船敏郎版「俺の心は汚い」って言葉に彼の想い全てが詰まってて色んな想いが込み上げてきたなぁ

ほんと名作です。
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