TAK44マグナム

悪の教典のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

悪の教典(2012年製作の映画)
4.0
頭脳明晰、学力優秀、スポーツ万能、そして爽やかなイケメン・・・ 
そんな人気教師ハスミンが、実はサイコパスであり、とんでもない殺人鬼だった・・・という映画。 

人気小説が原作で、とんでも映画を数多く撮っている邦画界の雄、三池監督作品。 
主演は「ジャンゴ」でも監督と組んだ、伊藤・マジックマッシュルーム・英明。 
正直、ジャンゴは超つまらない映画だったけど、今作品は最高! 

もともと、超分厚い原作本を一本の映画にするなんて不可能なんで、監督が余計と思った(と思われる)部分は全部バッサリカット。 
結果、生まれたのは、ただただハスミンが人を殺しまくる映画となった。 
でも、これで正解なんじゃないの?一本の映画なら。これ以上つめこむとダラダラと長くなるし。こんだけカットしても前半はダラダラした部分あるぐらいだし。 
なんか、邦画っていうと、高尚な何かがないとダメみたいな風潮あるけど、これは「人殺しエンターテイメント映画」なんだから、これで正解だと思う。 

若干、途中の構成の粗さで、?になる部分があったり、生徒のほうの描写が少ないから殺される側に感情移入できないってのはあるけど、生徒ほとんど全滅だから、いちいち全生徒を描いてられないし、そもそも一瞬で殺されるからそんな必要ないし。 
一応、主たる生徒にはエピソードあったしね。 

ハスミン以外の先生だと、山田孝之の使い方のハンパなさが笑えた。 

あと、釣井先生の、ハスミンに対する疑念を持った理由が「なるほど」と思えた。そんで、その死に方がまたまた笑えた。 
ハスミン、お前は必殺仕置き人か!! 

一番良かったのは、殺される人が二時間サスペンスみたいに死ぬ前にグダグダしゃべったりしないところ。 
怖がって、撃たれて、吹っ飛んで、オシマイ。 
経験したことは勿論ないけど、実際に殺人鬼を前にしたら、あんな感じじゃないのかな。 

ハスミンの殺し自体がめっぽう雑なんだけど、実際にアメリカでは殺人鬼だってバレて居られなくなったわけだし、けっこう本人も適当にやっているんだと思われる節がある。 
つまり、頭がいいのは確かなんだけど、殺人については単なる病気なんじゃないかと理解した。 
別に殺さなくても生きてゆけるんだろうと思う。本人が劇中で、自分は快楽殺人者ではないと言っているし。 
ただ、自分の理想を邪魔する輩が現れると、殺して消し去ってしまうこと以外に思いつかない、ある種、可哀そうな人なんでは? 
究極の社会生活不適合者。ものすごく迷惑な人。そんな感じ。 

ハスミンの理想が、美少女を自分のクラスに集めて学校を我がものにしようという、実に俗っぽい理想で、それもまた良いなあ。 

粗を探せば、あんな夜に街中の学校で散弾銃撃ちまくっていたら通報されるだろう、とか色々あるけど(苦笑)、それも含めて、久しぶりに邦画で豪快であり奇天烈な怪作が生まれてうれしいですな。 

伊藤英明は、人を助けるレスキューよりも、人を殺し続ける役を活き活きと演じておりますね。 
虐殺モードに入ったハスミンの、黒目が大きく見える、感情の無いサメのような目を、コンタクトレンズとかでなく自身の演技で表現しているらしく、なかなかに鬼気迫るものを感じたなあ。