Maoryu002

マイライフ・アズ・ア・ドッグのMaoryu002のレビュー・感想・評価

5.0
人生を癒し、いつでも勇気づけてくれる映画。

母親と暮らす少年イングマルは空想好きでおしゃべり好き。母親が病気のため、田舎の村の叔父の家に預けれらることになる。
ド田舎のその村で、風変わりで温かい人々に囲まれ、男の子達に混じってサッカーとボクシングを楽しむ少女サガと出会うことになる。

何か大事件が起きるわけではなく、淡々と村の生活が描かれるだけなんだけど、村人の一人一人、会話の一語一語、エピソードの一つ一つを観ていると、口元が緩むし、心が穏やかになる。
時代は1950年代の終わり、遠く行ったこともないスウェーデンの話なのに、すべてが懐かしく、自分の過去と重なって涙が溢れてくる作品だ。

女性下着のカタログを読ませる老人、屋根を修理し続ける男、一輪車の綱渡り男、怪しげな彫刻家、テレビに集まる人々、凍り付いた川で泳ぐ男、やたら色っぽいお姉さん、雑然としたガラス工場、納屋でのボクシング、手作りの宇宙船、裸が見たくて天窓突き破って落ちたり、初めて異性にヤキモチ焼いたり、すべての描写が愛おしくてたまらない!
特にラスト10分の温かい情景は永遠にリピートできる宝物級。

今ではハリウッドでも知られる監督になったラッセ・ハルストレムだけど、少なくとこの映画まではほとんど知ってる人いなかったんじゃないかな。
もちろん自分もその一人だが、この映画ですっかり虜になった。その後の「サイダーハウス・ルール」「シッピング・ニュース 」「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」なども、どこか心温まるメッセージを感じさせる秀作だ。

いつまでも優しい映画を作り続けていただきたいと思う。
Maoryu002

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