ちろる

マイライフ・アズ・ア・ドッグのちろるのレビュー・感想・評価

3.8
スウェーデンを舞台にした映画はどれもどんよりと闇が漂っていたものが多かった気がするから、こんな風に真っ青な空に太陽が降り注ぐ田舎の風景を堪能することができてよかった。
ちょっと問題があるレベルの主人公イングマルはお母さんのこと大好きで仕方ないのに、お母さんを泣かせてしまう。
イングマルのせいではないけどどんどんと結核の病で身体の自由が効かなくなる母の姿をあんな年齢の時に見ていくのはなんとも辛い経験だっただろう。
因みにこの作品、タイトルの割にほとんど犬のシーンは出てこない。
彼の一筋縄ではいかない人生を勇気づけるための宇宙犬ライカ犬と、離れ離れになってしまう愛犬シッカンとの時間はごくわずかで、イングマル自身がアズアトッグ(犬のように)という意味だったのだと途中からようやく理解した。
母とも兄とも別れ叔父の住む田舎町に一人きりで引っ越すという悲劇も、この叔父夫婦だけでなくこの町全体の朗らかさがまるで母の愛に相当するほど相当温かい。
何も大きなことが起こるわけではないけれど、沢山の女の子といい感じで、お友達も沢山で、大人たちにも愛されて、のびのびと子どもらしい時間を取り戻していく幸せを見せつけられて、やっぱ幸せってこういうものなんだと再認識させられたやさしい作品だった。
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