よしまる

ホリデイのよしまるのレビュー・感想・評価

ホリデイ(2006年製作の映画)
4.2
 評価が高いことは知りつつもC・ディアス、K・ウィンスレットともに自分の好みのタイプではないので観ていなかったのだけれども、今回友人とのweb上映会にて初観賞。

 しまった、オモロいw

 互いに二股をかけられ振られた女ということが共通しているだけで、生活環境も趣味も、育ちも恋愛も全く異なる二人の女性が、ホームエクスチェンジと言われる家まるごと取っ替えっこして住んでみようというお話。

 一番大きな違いとして設定されているのは、キャメロン演じるアマンダは人を愛することを知らない女、そしてケイト様のアイリスは人に愛されることを知らない女。
 アマンダは「惚れちゃダメだ」と懸命に愛を拒み(でも本当のセックスを知ってしまいガツガツしちゃうのがカワイイw)、いっぽうアイリスはアプローチに気づかない天然系。

 それぞれが過去の呪縛から解き放たれていくのだけれど、そのきっかけとなるのがアマンダは小さな子供たちでアイリスは老人というのが素敵だ。ソフィーとオリヴィアが父親からの溢れんばかりの愛を注がれていたこと、アーサーの華麗なる恋愛遍歴(それは歩けないなら人前に出ないというプライドからも見て取れる)が、それぞれアマンダとアイリスに与えた影響は大きく、それだけに過去を振り切って恋を成就するふたりにはうっかり感動してしまう。

 個人的な欲を言えば、そうしたお互いの違いをもう少し絡ませながら話が進むと面白かったのに(そのぶん唯一の絡みのキャッチホンネタは定番ながら笑わせてもらったw)というのと、やはりケイト様に比べてキャメロンは演技派とは言えず、最後の車中のシーンではウルっとさせられたものの大粒の涙をこぼすには至らなかった。アマンダ、自分の涙に気づくのが早すぎんだよww

 自身の心の声を天の声としてナレーションで被せてくるというのはアマンダが予告編エディターという役どころをうまく利用したネタなんだろうけれど、これまた表現力の弱さをカバーしているように見えてしまった。当然ケイトにはそんなナレーションは必要ないということかとw

 お互いの住まいのインテリアはめちゃくちゃリアリティがあって良かった。アイリスの豪邸、ソールバスのめまいポスターとか、DVD棚とか、もうちょいゆっくり見てみたいw
 アイリスのイギリスの片田舎のほうが現代では遥かにオシャレなのが時代性を感じる。明らかにいまはこっちのインテリアがかわいいよね。

 それにしてもカメラマンのディーンカンディ。特にふたりのお互いのデートシーンなんて最高にイカス。表情の切り取り、風景との馴染み方が半端ない。ちなみにこの人、物体Xなどカーペンター作品、バックトゥザフューチャーなどゼメキス作品の常連で、ジュラシックパークやアポロ13などの大作も撮っている超大物。さらに音楽は泣く子も黙るハンスジマー、ダスティンホフマンの飛び入りなど、ナンシーマイヤーズ監督の人脈がすごい。

 あー、なんか長文になってしまってすみません。音楽についても少しだけ。エモーションズやシェリルリン、アレサフランクリンなど要所での女性ブラックソウルミュージックがめっさツボ!クリスマスソングの定番「ハブユアセルフ…」もシナトラやクロスビーではなくエラフィッツジェラルドなところがナイスすぎた。
 映画好きをくすぐるネタは、もう書かなくていいよね、やっぱり楽しい♪

 物語としてはさほどの展開がなくたって、これだけのクオリティと、配役を含めた人物配置があれば何度観ても面白い良作になるんだなぁ。今まであまりない残り方をする映画だったので新鮮。とても良かった!