さうすぽー

怪談のさうすぽーのレビュー・感想・評価

怪談(1965年製作の映画)
3.8
自己満足点 75点

日本に伝わる数々の怪談を描いた小泉八雲の作品4篇を映像化させた1965年の作品。

最近のNetflixでは評価の高い昔の邦画を多く配信しています。そこから探している過程で本作を見付けたので観賞してみました。
ちなみに、小泉八雲の怪談話は有名な作品は子供の頃から聞いていましたが、「黒髪」と「茶碗の中」は今回初めて知りました。


1話目「黒髪」
佐藤浩市の父親である三國連太郎が主人公の武士を演じており、貧しさから田舎の妻を捨て、良い家柄の女と結婚した彼が任期を終えて昔の妻の所に戻ってくると...という内容。

かなりラブストーリー要素の強い作品で、「世にも奇妙な物語」に出てきそうな内容を豪華なセットやカメラワークで表現しており、ラブストーリーから一転してホラーに変わる様が秀逸でした。
次の雪女も恋愛要素強めですが、あちらはホラー要素の強いラブストーリーに対してこちらはラブストーリー要素の入ったホラーといったテイストでした。


2話目「雪女」
余談ですが、自分は子供の頃から雪女の話は知ってましたが意外と自分の同世代の友達は詳しく知らないのは結構意外でした。
先程も触れましたが、この話もホラーの要素が強いけど、完全に主人公と雪女のラブストーリーですよね(笑)子供の頃はあまり気にせずに読んでました。

こちらの話は吹雪の描写が圧巻です!
序盤でその吹雪の中から現れる雪女の場面も怖いです。
ただ雪女の話を予め知ってたからか、他の話に比べるとそこまで怖さを感じなくて、どのような演出を行うかも何となく読めてしまって少し残念です。


3話目「耳なし芳一」
こちらも話の内容は知っていましたが、どのような映像化に仕上がってるのか気になってました。
平家の壇之浦の戦いの場面は作り込みの強いセットだったのでリアリティに乏しいものの、カメラワークや素晴らしいセットに圧倒されました。
平家の場面と琵琶法師芳一の奏でる琵琶の音色もまた引き立たせていました。

...ただこの話、かなり長いんです。
他の話が30~40分程度なのに、こちらは70分以上費やしています。
壇之浦で滅びた平家について語らないといけないので長くなるのは致し方無いとは思いますが、平家の戦いがあまりにも長く、ストーリー進行もかなりスローなので「カット出来たところあるだろ?」と思ってしまい、だいぶ退屈した所が非常に残念です。


4話目「茶碗の中」
こちらの話が一番好きでした!
水を入れた茶碗の中に自分ではない他の見知らぬ人が映ってる様は自分も普通に怖いです。
また、話が未完という設定のため、特殊なストーリー構成が敷かれますが、ラストにあの結末を持ってこさせたのは凄いし、普通に怖かったです。

惜しむらくは、この話だけなぜか音楽の音響が悪く、カットの仕方も少し雑に感じたところはありましたが、全話の中で最も怖かったのでかなり満足です!


―総評―
全体的に話はスローテンポだったものの、豪華なキャスト、黒澤明ばりの豪華で美しいセット美術、そして、美しいカメラワークで充分楽しむ事が出来ました。

特に、セットで作られるとリアリティには乏しくなるものの、お伽噺のような虚構に仕上がっており、寓話に近いホラー作品に仕上がっていました。

全体の長さは3時間ではありますが、4つの短編なので1つずつ何回かに分けて観賞すれば全く苦痛には感じないかと思われます。
自分も1日1話ずつのペースで観賞しました。