怪談の作品情報・感想・評価

「怪談」に投稿された感想・評価

horahuki

horahukiの感想・評価

4.7
ヤバイ!!!めっちゃ面白い!!!
間違いなく邦画ホラー屈指の傑作!

夏だし心霊系のホラーを見たくなったんで、どうせなら有名なやつをと思い、軽い気持ちで見始めたんですけど、凄まじすぎてビビりました!3時間あるんですけど、全く長さを感じさせないトンデモナイ魅力のある作品でした。

『黒髪』『雪女』『耳無芳一の話』『茶碗の中』。ラフカディオハーン(小泉八雲)が記した怪談四編からなるオムニバスストーリー。
全部面白いんですけど、中でも耳無芳一が凄まじすぎる!こんなの見たことないよ!

『黒髪』
今まで仕えていた屋敷の主人が没落したため、収入がなく貧困生活を続ける夫婦。夫が、とある有力な屋敷の娘と結婚することを条件に、その屋敷に仕えるという出世話を持ちかけられる。夫は妻を捨て屋敷の娘と結婚するが、その娘が我儘かつ冷酷で…。

1本目から凄い!
根底にあるのは夫婦の愛。自らの出世のために妻を捨てた「後悔と自責」にさいなまれる主人公。そしてそれを許す妻。でも、例え許されたとしても過去の行いは決して消えない。「過去」による主人公への復讐。愛と裏切り、そしてその報いによる破滅。
これに限らずですが、とことんこだわったセットと恐怖を煽るBGMが醸し出す雰囲気が素晴らしいです。

『雪女』
雪山で、ものすごい吹雪に襲われた主人公と茂作。偶然見つけた小屋で休もうとするが、横になる茂作に白い息吹を吹きかける真っ白な服を着た女が突如現れる。そして、そのまま茂作は氷漬けになり死んでしまう。その女から、生かしてやる代わりにこのことを他言するなと言われ…。

これは誰もが知ってる有名な怪談ですね。
これも根底にあるのは夫婦の愛、裏切り、そしてそれによる報い。ここら辺は日本の怪談あるあるですね。ストーリーはみなさまご存知の通りなんですけど、とにかく映像が凄い。これも巨大セットの中で撮影されていて、空が全て絵なんです。場面に合わせて無数の目や唇が浮かんでいたり、赤々しい夕暮れなど、全てのシーンがとにかく幻想的。魅入ってしまいました。

『耳無芳一の話』
とある寺で仕えている琵琶法師の芳一。和尚たちが出かけている時に、謎の男から「高貴な方々の前で演奏してくれ、このことは他言無用」と言われ、無理矢理連れて行かれる。その後、何度も同じことがあり、その度に芳一が衰弱していく。和尚がそのことに気づき芳一の身体中に般若心経を書くが…。

これの出来栄えが頭おかしい!傑作中の傑作!
話は壇ノ浦の戦いの場面からスタートします。かなりの尺を使い、この戦いの惨さをとことんまで見せつける。武士たちの戦い方がスタイリッシュとは程遠い、死に物狂いの生々しい殺し合い。次々に人間を薙ぎ払っていく鬼神の如き迫力。そして、その悲惨で不気味すぎる結末。ここでお腹いっぱいになるレベルの出来です。

その後は、ご存知の通りの耳無芳一。でも、芳一が平家の前で琵琶をひくシーンの画力が半端ないんです。ジワジワと襲い来る恐怖。冒頭の合戦のシーンがここで効いてくる。あの惨たらしい死に様を受けて、平家の無念が生々しい憎悪や悲哀の感情とともに視聴者に圧倒的な圧力をもって襲いかかってくるんですね。語彙力がなさすぎて表現できませんが、ホラー好きなら絶対に見るべきだと思います。その圧倒的な画力に飲み込まれること必至です!

『茶碗の中』
中川佐渡守の家臣をしている主人公。年始周りで立ち寄った場所で水を飲もうとすると、なぜか男の顔が映り込む。水を捨てても茶碗を変えても映り込む。結局主人公はそれを飲み込んでしまう。ある晩、1人で部屋の警護をしているとその男が現れる。刀で斬りつけるも手応えがない。後日、3人組が主人公を訪ねてきて「主人がお前に斬られて療養中である。必ずこの恨みを晴らしにくる」と言われ…。

水に映り込む男の笑顔でちょっと笑ってしまいましたが、人の魂を飲み込んでしまった男がどんどんと追い詰められていく心理ホラーの良作です。男が本当に映っていたのか、それとも、その後に目撃する異様な者たちも含めて全て幻覚なのかは明確には語られません。そこが怖い。何がこの主人公に起こっていたのか。心霊的なものとも、主人公の精神がひょんなことから崩壊していく話とも取れる作品です。最後の水瓶はよくわかりませんでしたけどねf^_^;
これはDVD購入決定です!(*^^*)
rock

rockの感想・評価

5.0
記録。1月22日鑑賞、DVDを買ってまた見たい。
G

Gの感想・評価

4.8
これはまーじ素晴らしい…クインシーのbig band bossa novaのような…
静止画の志向、不合理な掟と意図せざる掟の侵犯、その厳罰、なすすべもなく魔に取り込まれていく人間、線状的時間の否定、とかそのあたりの要素にルチオ・フルチの映画がダブってしまったので末期。
ぼくはフルチの映画は大好きですからこれも面白かったです。『墓地裏の家』なんかとはセットの質感がよく似てますよね! ね…?

あと怖かったです。雪女の後ろ姿とか。振り返ると怖くないがふっと現れた永遠とも思える一瞬の怖さ。異様なフォルムと異様な音、異様な間。
怪異が現れるまでをじっとりと間を取って演出するのはもしかするとJホラーの先駆けかもしれない。
だから「耳無し芳一」も壇ノ浦の戦いを長過ぎるくらいに描くし、そうして死の運命に囚われていく姿は確かにゾッとさせられるものがあるのだ。

個人的ベスト怖いは廃墟で狂う三國連太郎。『卑弥呼』でも狂っていたから時代劇の世界に入ると三國は狂う。
そのエピソード、『黒髪』がそんなお話であったように、死んだものに対する恐怖と死んだものと同化することの安らぎが同居する、お化けよりもそうした死の両義的な捉え方が現代の目にはたいそう恐ろしく映ったし、そこがまたフルチっぽさの所以でもあった(まだ言う)
瑠

瑠の感想・評価

4.0
昔の邦画はセットに金がかかっていて凄かった
今までレビューの本数はまったく意識してなかったんだけど、ホラーやオカルトものの愛好者として666本目だけは意識しとこうかなと思ってました。 オーメンで有名になった悪魔の数字ってやつですので。
そしてなんと今回が666本目のレビューなんですが、作品はこれにしました(´∀`)

古きよき時代の邦画なのですべてがキラキラしてました。これは観た方がいいと思います。
なんなら一家に1本、DVDかBluRayを置いといたほうがいいような。いやこれ80%くらい本気で言ってます。残りの20%はノリというか勢いというか…。

ちなみに本作が興行的に失敗した結果、あの《にんじんくらぶ》が破綻したといういわく付きの作品でもあります。
なんでこれが興行的に失敗するんですかね?
早すぎた傑作だったんでしょうか。

いかにも武満徹です他の誰でもありませんよ、という感じの音楽も雰囲気出してました。
ずっと傑作だと聞いていたし興味もあったのに初見でした。とっとと観とけばよかった。


«黒髪»
定職にありつけることに目がくらみ、妻を捨てて家柄のよい別の女と結婚した男。再婚してから捨てた元妻の細やかな愛情に気付く。復縁するため元妻宅を訪れる。和解する。がっ!

これと似た話は溝口健二の雨月物語にもあったような。あちらは幽玄な感じ。こちらは理知的なカットバックがかっこいい。


«雪女»
幻想的な?シュールな?書割がいい味出してました。大掛かりなセットがすごい。そしてCGじゃない吹雪がすごい。そして久我美子ほどじゃないものの岸恵子がかわいい!

«耳なし芳一の話»
みんな知ってるあの話。耳にだけ念仏書き忘れるなんて、おちゃめな僧侶ですね。
ふっ。絶対わざとでしょ?とか。疑い出すときりがなくなる疑惑の僧侶。実は彼こそが主役なのかもしれない。

«茶碗の中»
結末のない話なんていうとんがったものが小泉八雲の怪談にあるのもビックリだけどこの時代の映画で取り上げられているのもびっくり。個人的には1番好きな話でした。

5.0でもよかったんだけど、オムニバスだったし、なんだかんだいって3時間はやっぱ映画として長いんで…。

これが好きな人には溝口健二の「雨月物語」がおすすめ!
あのゴダールがパクッたというクレーン撮影(ゴダールの映画史という本の中でゴダール本人がパクッた言うて…はいないですが引用したとか敷衍したとか言ってた思うので間違いありません笑)が見れます。
CGではなくセットだから作り出せる雰囲気が素晴らしい。昔ドラマの怪談百物語を見てたこともありストーリーをすでに知ってる話が多かったが改めて日本の怪談の良さを実感した
Sou

Souの感想・評価

4.0
3時間あっという間でした。黒髪と茶碗の中は知らなかったのでわかって良かった。
クライテリオン版で鑑賞しました。今まで見ていたのは161分の短縮版だったと言うことにちょっと驚く。今回は183分の完全版。クライテリオン版はかなりの特典映像が入っているので楽しい。特に巨大セット巨大セットと言われているがどれだけ巨大セットかと言うのは、今までわからなかったが、このクライテリオン版の特典には特報として白黒映像で巨大セットが写し出され雪女のセットで延々と長い道のところに雪を降らせているのを天井から俯瞰したショットが見られ、いかに巨大であったのかが分かる。そして武満徹の音楽が最高にすごいのはよく理解できるが、この演奏した琵琶奏者である鶴田錦史の事は、意外なことに多くは語られてないケースが多い。それは、おそらく男装して女を捨てリーゼントになった鶴田の格好から何やら醸し出している。その風貌から見てもほとんど男にしか見えない。ちょっと前のノンフィクションに「さわり」と言う本があり、ここに詳しく鶴田錦史の人生が描かれている。このノンフィクションかなり面白いので、そのうち映画化になるかと思ったが一向に映画にならない。なぜだろう、やはり琵琶協会っていうのがあって反発しているのだろうか。そして「耳なし芳一」の琵琶場面で中村嘉葎雄が口パクをするんだが、見事に合っていて見事なシーンになっているのが特筆すべき点であろう。もう一つ何とも言えないホラーである「茶碗の中」は、いかにも怪談でありJホラーの頂点に達した作品だと思います。クライテリオン版の特典には日本映画監督協会が作成した篠田正浩による小林正樹監督へのインタビューが入っており、木下恵介監督に五千万円借りた経緯が述べられ、非常に興味深い映画制作であったことがよくわかる。クライテリオン版を観ながらいつも日本映画会社が発売するDVDには愛がないなぁといつも感じますね。英語の題名もKAIDANでなくKWAIDANでこっちの方がおどろおどろしいですね。
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