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ザ・フォッグのMOCOのレビュー・感想・評価

ザ・フォッグ(1980年製作の映画)
3.5
「共犯者は取りあげた財産が盗まれたと信じているが、盗んだのは私だ」

 小さな港町「アントニオ・ベイ」が、誕生100周年のイベントで盛り上がろうとする4月21日、 地方のラジオ局を一人で運営するスティーヴィー・ウェイン(エイドリアン・バーボー)は、灯台のスタジオから深夜放送で24キロ沖合いのシーグラス号へ霧の塊が迫っていることを伝えます。

 突然霧に包まれたシーグラス号の目前に古い帆船が現れアル達乗員3人は次々と殺されていきます。

 100周年の節目、4月21日午前零時になると町の公衆電話が一斉に鳴り、コンビニの陳列商品が地震のように揺れ、ガソリンスタンドでは給油ノズルからガソリンが吹き出し、駐車中の車のライトが一斉に灯りクラクションが鳴るなど静かだった港町は突然騒がしくなります。

  町の若者リックはヒッチハイカーのエリザベス・ソリー(ジェイミー・リー・カーティス)を乗せ運転中に窓ガラスが割れる怪奇現象に遭遇します。
 
  夜が明けて、スティーヴィー・ウェインの幼い息子は「DANE」と彫られた古い大きな木片を見つけます。

 リックは港に戻らない友人アルをを探しにソリーと沖へ出てシー・グラス号を発見し、乗組員の一人の遺体を発見するのですがアルは忽然と姿を消していました。

 女性議長キャシー(ジャネット・リー)はシー・グラス号の夫アルが戻らないことを気にしながら助手のサンディと100周年のイベントの打ち合わせを終え、街外れのモーガンダウンロード墓地の教会のマーロン牧師を訪ねます。
 マーロン牧師は前夜、教会の壁の中に隠されていた祖父の日記を見つけ「100年前ハンセン病に犯された富豪のブレイクと同じ病の者達が村から1.6キロ離れた所に定住する許可を求めにやって来たが村民で彼らを殺害し金銭を強奪し、村を町に変える資金を作ったが殺人の共犯者になった」という記述を見て強いショックを受けます。

 そしてその夜発生した青く発光する濃霧は内陸部を包み込み殺戮の夜がはじまります。100年前命を奪われた者達はアントニオ・ベイの住人に復讐に現れるのです。

 町を見渡せる灯台で異常な濃霧に気が付いたスティーヴィー・ウェインの緊急連絡を断つかのように霧は電話線、発電所を包み込み・・・。

 自家発電に切り替え放送を続けるスティーヴィー・ウェインは霧の流れを克明に放送し、唯一霧のかかっていない避難場所を知らせます「町を脱出するなら古い教会へ・・・」
 そして霧は町から離れているスティーヴィー・ウェインの灯台も包み込みスティーヴィー・ウェインも逃げ場を失っていきます。

 濃霧を避けるように教会に向かったキャシーとサンディ、リックとソリーはマーロン牧師と共に亡霊に追い詰められていきます。
 
 あまりのショックに日記を読み進む事ができていなかったマーロン牧師は祖父がブレイク氏の財産を誰にも気付かれず壁の中に隠していることに気が付き、亡霊に返すことで解決できないかと・・・。

 
 ジョン・カーペンターが「遊星からの物体X」をリメイクで大ヒットさせる2年前の1980年のヒット作です。この作品の2年前に後々シリーズ化となる「ハロウィン」を制作していたことから「ザ・フォッグ」は公開前から話題になっていました。
 ジョン・カーペンターは「ハロウィン」のヒロイン、ジェイミー・リー・カーティスをヒロインの一人に起用しながら、ジャネット・リーを起用して親子共演させています。
 ジェイミー・リー・カーティスの母親ジャネット・リーは映画サイコのマリオンを演じた女優、父親は日本でも人気のあったトニー・カーチスです(赤木圭一郎のあだ名「トニー」はこの人に風貌が似ているからです)。ジェイミー・リー・カーティスは個性的な顔立ちの方なので写真を見れば記憶の片隅にある女優です。

 発光する霧を背に現れる亡霊は輪郭ははっきりしているのですが、逆光になるため姿がはっきりせず、公開当時ブレイクの霊は日本の武将を模写しているのではないかと話題になりました。
 
 大々的に電波を使って教会への逃走を呼び掛けるのですが集まったのは、キャシーとサンディ、リックとソリー達メインキャラクターだけという演出が気になりますが、この映画もコレクションのためにDVD販売のときに購入したものです。古い映画を観直すとどうしても怖さの演出がもの足らないのですが、昔は「怖かった」という思い出が甦ります。
「この映画も昔観た時は怖かった・・・」

 
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