ごろちん

太陽のごろちんのレビュー・感想・評価

太陽(2005年製作の映画)
3.8
ロシアの映画監督ソクーロフが日本のタブーに果敢に踏み込んだ作品。神格化された裕仁天皇が元の人に戻るまでの数日間をフラットな視点で描いている。

現人神であるからには弱音を吐く訳にはいかないし、否定をされない代わりに発する言葉には大きな責任も伴う。孤独と責任。そしてそこから生まれる苦悩と葛藤。一般人には到底計り知ることは出来ない。

感情を表に出さないのは現人神を意識していたからだと思うけど、もはやその出し方すら忘れてしまったかのよう。ただ、好きな海洋生物の研究に没頭したり、マッカーサーが差し出した葉巻に興味を示す様子や空襲の悪夢にうなされる姿は紛れもなく一人の人間。

イッセー尾形が演じる裕仁天皇の「あっそう」と言う口癖や、何かを呟くように忙しなく動かす口元は晩年の昭和天皇の映像で見たことがあって、凄く似ているなぁと感心。そういえばうちの親父も昔真似していたっけ。全然似てなかったけど。
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