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緑の光線のkazukiseraのレビュー・感想・評価

緑の光線(1986年製作の映画)
3.6
「緑の光線を見ると、自分と他人の感情が分かるそうです」

太陽が水平線に沈む時、様々な条件が揃った時、一瞬だけ見ることのできる緑の光線。

先日
「レネットとミラベル/四つの冒険」
でエリックロメール作品の魅力を知り

今回、二本目となる「緑の光線」

フランス映画は、今日はワイン呑みたい気分かもってくらい、だいぶ偏った気分の時に見たくなる。ワイン呑みたいって思ったことはないけど。

物語の主人公デルフィーヌ

2週間ほどの夏の休暇を前に、友人と行くはずだったギリシャ旅行をキャンセルされる。
せっかくのバカンスをパリで過ごすのは嫌だと、周りの友人や元カレ、家族の元へ尋ねるが、みんな予定が決まっている。

みんな色んな提案をしてくれるが、デルフィーヌの理想を満たせるような提案は中々ない中、見兼ねた友達にリゾート地に連れて行ってもらったり、色々と旅行してみるものの嫌になりすぐパリに戻るデルフィーヌ。

彼女は、とても自己肯定感が低い。理想も高く、まわりの好意もすぐだめにしてしまう発言、突然泣き出したり、なんせ場の空気を悪くする。
とても楽しい食事会でも、メインの肉料理が出てきてみんな盛り上がってる中「私は動物は食べない」とヴィーガンの思想を長々と語り出す。
「興味ない。」「帰る」
みんなが楽しんでれば楽しんでるほど、そんな事言っちゃう。
真面目に相談をのってくれ助言をしてくれる人にも悪態をつく。
まぁ大体の人がこの子苦手だなぁと思うタイプである反面、同調する方もいるだろう女性像である。
とはいえ、子供と接してる姿や、たまに楽しそうに話してる姿はとても魅力的である。

この作品は、全て即興劇で描かれているとのこと。
なので、ずーっとうだうだ話してるんですよ。みんなもずーっとうだうだ中身のない話するでしょ友達と。
ずーっとそんな自然なやりとりを長回しで観るんだけど、レネットとミラベル同様その感じがたまらなくいいんですよね。
即興だから、言葉が被ったりするんですよ。んで、お互い一旦シーンってなる空気。あんま映画で見ることないじゃないですかそんな自然現象。あとは、聞き間違いとかもあったりとにかく自然。ずーっと男がどうだこうだのほぼガールズトークを聞く感じなので、地獄と感じるかたも多いでしょう。男性はあんま好まないんじゃないかな。
可愛げのないデルフィーヌだけど、最後の最後は愛おしかったなぁ。
幸せになってくれ←