みおこし

モナリザのみおこしのレビュー・感想・評価

モナリザ(1986年製作の映画)
4.1
ずっと好きそうと言われてたのに未見だったので鑑賞!はい、ツボでした!(笑)ニール・ジョーダン監督は『俺たちは天使じゃない』が個人的ベストだったんですが、本作がトップに浮上しました〜!!
そして、私ボブ・ホスキンスがイギリス出身だとは存じあげませんでした...(笑)。

ボスの身代わりで入った刑務所から出所したばかりの中年男ジョージは、かつて所属していた組織から高級コール・ガールのシモーヌの運転手の仕事を斡旋される。当初は彼女とそりが合わなかったが、次第に二人の間に絆が芽生え始め...。

『恋する人魚たち』でも素晴らしい演技だったけど、本作の彼はキャリア最高と言っても過言ではないのでは。実際に本作でカンヌ国際映画祭男優賞と、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を獲得しています。
何もかも冴えない刑務所上がりのおじさんが、美しいコール・ガールに惹かれ始め、彼女を救うために奔走する、ある種とても切ない形の"ヒーロー映画"です。
どこかお人好しで正義感の強すぎるジョージは、弱い者いじめや人道に反する行為を見ると放っておけないタイプ。街中の娼婦たちが痛い目に遭っているのを知り、不器用ながらも奔走する姿はまさに男の鑑。でもふと見せる表情はどこか寂しそうで、自分を押し殺しながら運転手としてシモーヌを守ろうとするのが切なさMAX。

ニール・ジョーダン監督作品は、完璧じゃない弱者が主役になりがち、そしてそんな人々が逆境を乗り越えようと奮闘する流れが多いですが、本作はまさにその典型例。『レオン』や『タクシー・ドライバー』のトラヴィスほどスタイリッシュでもないけど(笑)本作のジョージもいつの間にかカッコ良く見えてくるから不思議!
クスッと笑えるユーモアもあるし、とにかく楽しめる上にハラハラドキドキもして、ラストもどこか余韻の残るステキな作品でした。脇を固めるハグリッドことロビー・コルトレーンや、悪役のマイケル・ケインもまた良かったです。

タイトルにも使用されていますが、ナット・キング・コールの"Mona Lisa"も印象的でした。
みおこし

みおこし