COZY922

推定無罪のCOZY922のレビュー・感想・評価

推定無罪(1990年製作の映画)
3.6
この、なんとも言えない後味はゴーンガールを鑑賞した時の感じに似ている。ストーリーもキャラクター設定も異なるけれど、女に翻弄される男と、気まずさと後悔と怒りと戸惑いをミキサーにかけて混ぜたような後味。

ハリソン・フォードが演じるのはやり手の検事補ラスティ。ある日同僚の美人検事補が殺害されラスティが担当検事を任されるが、彼が被害者と不倫関係にあったことから やがて容疑をかけられることになる。静かに渋く抑えたトーンがずっと続き、これが 、何かが裏にあるような、核心がヒタヒタと忍び寄るような 、不穏な空気を醸し出している。地味だけど後半に行くほど引き込まれた。

推定無罪とは「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される、という近代法の基本原則」とある。ニコリともしないハリソン・フォードが、この言葉を体現するかのようなグレーゾーンの人間をとても巧く演じていた。白のようで時々黒く見え、黒かなと思うとやっぱり白と思い直させる。

個人的な好みだけど、最後の数分は無いほうがよかった。セリフですべてを説明するよりは、「推定無罪」のタイトルどおり、「あの」シーンで終えてどちらかわからないままにするほうが終わり方としては好きかも。その曖昧さが、もどかしいほどに興味を掻き立てるから。映画が終わっても終わらないその興味の矛先が、誰かと解釈を語り合ったり 次の映画鑑賞に向いていくから。
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