ENDO

熱愛者のENDOのレビュー・感想・評価

熱愛者(1961年製作の映画)
4.5
切実さが横溢して止まない。終盤雑踏の中孤独な比呂志を捉える遠景ズーム撮影に感動!多動症の岡田茉莉子(カメラも奥に手前に動きまくる!)陰鬱な屋敷が裏の主人公(書斎のグランギニョル感)建て付けの悪い雨戸はショットと科白を分断するわけだが昼間に全てを締め切る事で生まれる暗闇から加速度的に病んでいく比呂志と茉莉子の関係(職場は一度も映し出されずさらに時間の跳躍著しく現実は後退し夢幻的ですらある)愛憎が渦巻き過ぎて感情を失い顔が痙攣しだす比呂志(異様に浮き出た咬筋?への陰影)文学的な恋煩いの懊悩をぶった斬る伊藤雄之助の存在は清涼剤のように爽やか!肺患いの元カノ月丘夢路と出歯亀居候の乙羽信子というタカラジェンヌの使い方に唖然。布団を敷こうとする茉莉子を“ぼんやりとした不安”から無理矢理押し倒すあたりから俄然熱を帯びる!小池朝雄にフラれたという衝撃の事実!涅槃の境地に至った囁くような2度繰り返される了承の「あゝ」理想と現実の差異に憔悴しきって破壊される。感情の吐露は余りに独りよがりで耳を傾けることは不可能!科白と乖離し続ける人物の行為に酩酊すること間違いなしの傑作!映画の地平を観ました。
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