しろくま兄サキス

劇場版 仮面ライダー555(ファイズ) パラダイス・ロストのしろくま兄サキスのレビュー・感想・評価

3.0
【ああ、あれ?!以外に面白いぞ?!ヘンだなぁ....。】

所詮は夏休みオコサマ向け企画の域を脱してはいないが、ところどころ秀逸なシーンが散見。

 TVシリーズとは世界観に直接のリンクはないそうだが、一応主要な登場人物と設定は踏襲してあるので、それをふまえた上で見終わった印象をつれづれなるままに。

 ストーリーの縦糸は、今や全人口のほとんどをしめるオルフェノクと呼ばれる進化人類に、残されたわずかな真性(?)人類の抵抗活動を描いているようなんだが、なんでごくフツーに進化(笑)して、滞り無く社会を形作っているオルフェノクに対し抵抗しなければならないのかが見えてこない(パンフ読んでなんとなくわかったが)。そんな社会を影で牛耳っていると思われる巨大ハイテクコングロマリット企業、スマートブレイン社の真の目的もイマイチハッキリとしない。つまり、登場人物達を取り巻く背景の練り込みがアマアマで、説明不足で、場当たり的なんである。実はSFとか特撮好きにはその辺のところがキモだったりするのだけどねぇ。VFX、アクションの見せ方とか(ファイズvsサイガの決着シーンは最高にかっこよくてゾクゾク来た)、メカ・クリーチャーデザインなんかはスゲェというにはほど遠いがそれでもかなりイイ線は行っているのだから、上記をしっかり作り込んでくれたなら、実はひょっとして良質の人類進化SF青春群像アクションヒーロー映画になる可能性を秘めていたのではないかと思うがどうか。これは予算と製作期間の問題じゃなくて、制作者・脚本家のSFマインドにかかっていると思う。

 あのシーン、あそこはやっぱりタンゴでしょう!