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ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

密輸された銃器によって暴力団の抗争が激化した香港。取引現場へと踏み込んだ香港警察のテキーラは激しい銃撃戦の末に同僚を失い、さらには潜入捜査官まで射殺してしまう。事件解決に執念を燃やすテキーラは、最大勢力の組織と対立するジョニーへ揺さぶりをかけるが、そこでトニーと呼ばれる謎の男と衝突することになる…。

「歴史に残る銃撃戦」とはまさにコレ。
ハリウッドに渡る前のジョン・ウー監督作品で「香港では、これが最後だ!」と言わんばかりの気合いが入った一作。
やりたい放題でとにかく圧倒される。

もうオープニングから凄まじい。
小鳥が鳴く飲茶屋で、民間人を巻き添えにしながらの銃撃戦。
悪役の若き國村隼の存在感が光る。
客観的に見ると杜撰で無謀な突入だが、熱血漢のテキーラ刑事を演じるチョウユンファの乱れ撃ちのカッコ良さ、華麗さに心酔してしまう。

圧巻の幕開けから、組織の武器庫でのバイクが乱れ飛ぶ大乱戦へ。
実は潜入捜査官であるトニーとテキーラがここで初めて出会う。
銃撃戦の前に父親のように慕っていた親分を任務のために裏切らざるを得ない潜入捜査官のトニーの苦悩が描かれる。
トニー・レオンの義理と人情のはざまで苦しむ眼の演技がとても切ない。

そして病院という限定空間でのクライマックスは「ダイ・ハード」も真っ青。
反目し合いながらも協力する二人は秘密の武器庫がある病院に侵入し、オープニング以上に民間人を巻き添えにした壮絶な死闘を繰り広げる。
エレベーターでフロアを移してからの長いワンカットの銃撃戦は、まさに戦場に放り込まれた気になる。
そして撮影中によく死人が出なかったものだと思うほどの火薬爆発の多さ。

ラストで哀れにも殉職するトニー。
後年の傑作「インファナル・アフェア」での潜入捜査官の元ネタかと思わせるほど、切ない男の生き様が余韻に残る。
この映画の真の主役は明らかにトニー・レオンだ。
熱血ハミ出し刑事役のチョウ・ユンファだけではドラマの盛り上がりに欠けただろう。

アンソニー・ウォン演じるジョニーの外道ぶり、片目の殺し屋マッドドックの悪党の仁義。
ドラマの熱量を引き上げる悪役もいい。

だが、さすがに盛り込み過ぎの感は否めない。
赤ん坊を抱いて撃ち合う必要はあったのかとか、弾丸数は無限なのかとか、ツッコミどころには事欠かない。
だが、アクション映画でそれを声高に言うのは野暮というもの。

物語を真面目に受け止めてはいけないが、当時の身体をはったアクションは見ごたえあり。
燃えるアクションと泣けるドラマはジョン・ウー監督の真骨頂。
世界的に見てもガンアクション映画の最高傑作と言えるかもしれない。
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