ヴェルヴェっちょ

トレーニング デイのヴェルヴェっちょのレビュー・感想・評価

トレーニング デイ(2001年製作の映画)
4.0
超骨太。
腐敗しきったベテラン刑事のもとに赴任してきた新米刑事の、長すぎる一日とは…。

ロサンゼルス市警の麻薬取締課に配属となった新人刑事ジェイク(イーサン・ホーク)は、ベテラン刑事のアロンゾ(デンゼル・ワシントン)とコンビを組み、麻薬捜査の「いろは」を教え込まれる。
数々の大事件を解決し、麻薬に絡むあらゆることを熟知しているカリスマ刑事アロンゾは、ジェイクの手本であり憧れの存在。
「かよわい子羊でいるのか。獰猛な狼になるのか。それを選べ」と忠告するアロンゾは、犯罪摘発のためにはいともたやすく自ら法を犯す。戸惑うジェイクをよそに、アロンゾの行動はさらにエスカレートしていく…。

役が俳優にイメージを付けることは是か非か。てっきり善人のイメージのあるデンゼル・ワシントンだが、本作ではそのイメージを軽々と裏切る。新人に銃口を向ける、麻薬を吸わせる。麻薬の売人たちとの金欲まみれの癒着。何でもあり。

地獄を絵に描いたような職場に赴任するジェイク。観ているだに気が滅入る。憂鬱だ。
熱血は忽ち吹き飛び、狂気を帯びた眼へと変わっていく彼を演じたイーサン・ホークの好演は見事。
だが何と言っても血も涙もないアロンゾを演じたデンゼルは格段に怖ろしい。アカデミー主演男優賞も納得の怪演。

えぐられるような衝撃が残る、容赦なしの一本。