カラン

リスボン物語のカランのレビュー・感想・評価

リスボン物語(1995年製作の映画)
4.0
久しぶりのヴェンダース。面白いな。愛らしいな。ヨーロッパって繋がってるんだな。録音技師がドイツからポルトガルまでおんぼろ車でずっと行く。音楽がテクノっぽいのから、スペイン、ポルトガルのラテンのノリに変わってく。

リスボンの街までわざわざ逢いに来たが、呼び寄せた方の映画監督は不在。その部屋でセッションをしていた音楽家たちは実際にリスボンのローカルな音を追求している音楽家たちだそう。すごい素敵なサウンド。本作は、リスボンという水と石と悠久の歴史でできたローカルな空間が生みだすアートを描こうとした作品のようだ。

だから、ポルトガルの映画監督マノエル・オリヴェイラも登場。正直、彼が言っていることが私には分からない。また、劇中でポルトガルの詩人・ペソアの蛍光ペンでマークされた詩を録音技師が読むのだが、ペソアの方はオリヴェイラ本人の作った映画の中で引用されているものよりも分かる気がした。『ブエナビスタソシアルクラブ』の舞台をヨーロッパに移して、録音技師と映画監督のずっこけ珍道中に仕立てた感じか。
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