アラサーちゃん

毒薬と老嬢のアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

毒薬と老嬢(1944年製作の映画)
4.5
@Regrann from @harupooonn - 🎬
「毒薬と老嬢」
結婚の報告をするため、新妻エレインを連れて実家に帰ったモーティマー。優しい叔母姉妹に迎えられ再会を喜ぶモーティマーだったが、自分をルーズベルト大統領と思い込んでいる兄のテディが、毎日掘り続けている地下の「パナマ運河」、そこにこの温和な姉妹の隠された秘密が眠っていることを知ってしまう。1944年、米。

ハートフルコメディを撮らせたら右に出る者はいないフランク・キャプラ。
「素晴らしき哉、人生!」の監督。

この映画は、「素晴らしき哉~」のクスッと笑える感、人のあたたかさを思い出しつつも、なんともダークでエッジの効いたジョークを連発してくれる、すぐれたブラックコメディです。

モーティマーの叔母姉妹は、孤独な老人たちを間借りさせ、毎晩ラッパを吹いては地下を掘る気の狂った甥と暮らしている。
隣近所の住民や巡回する警察官たちは、このマーサとアビーを心優しい老姉妹だと思っています。

ところがどっこい、彼女たち、実は連続殺人鬼。
間借り人たちを次々と自家製の毒入りぶどう酒で毒殺していたのです。

でも、ほんとかわいいこの姉妹(アビーは「ハーヴェイ」のジョセフィン・ハル)。
かわいそうな老人を安らかに死なせているわけで、彼女たちは犯罪だとは思っていなくて、「慈善活動しているの」と言って、幸せそうにニコニコとしています。

この姉妹に振り回されていく展開なのかと思えば、中盤、サイコキラーの兄ジョナサンが出てきてさらにしっちゃかめっちゃかに。
くっついてくる頼りなさげな整形外科医(みんな大好きピーター・ローレ)との見事な掛け合いに笑う。
ロボット殺人鬼みたいな顔しといて、博士と殺した人数について一生懸命数えているところ、叔母姉妹に競争心芽生えているところが可愛い。

登場人物たちがみんなチャーミング。
こんなブラックなストーリーなのに軽快なテンポと抜群のコメディ演出、
そしてキャプラの本領発揮、キャラクターみんながみんな本当に可愛い魅力に溢れている。

アクの強い脇役たちに振り回されるモーティマー、かわいいふたりのおばあちゃん、天使のようなエレインをはじめ。
絶妙なタイミングで「突撃!」とラッパをかましてくるテディ。
#ボリスカーロフ(フランケンシュタインの俳優)に似ていると言われる度にブチキレるジョナサン。
顔だけでもはや笑えてくるアインシュタイン博士。
舞台劇を書くのが趣味の若い巡回警官オハラや、ハネムーンのためにひたすら待たされるタクシーの運転手とかチョイ役も◎

シーンとしては、postにも使ったアインシュタイン博士とジョナサンの影の演出。好きです。
地下で死体を埋める穴を掘るジョナサンに、苦言を呈するんだけどやっぱりジョナサンに反抗できない博士の図。
異様に動く手が博士の顔と同じサイズで、今にも手のひら一つで潰されてしまいそうな関係描写。

私の中のケーリー・グラント史上最上級に魅力的!
ヒッチでのアクティブダンディもいいけど、コメディのこの人もほんと素敵。コメディでもどこかいつも飄々としているイメージだけど、これに関してはずっこけて、もの投げられて、髪振り乱して引っ掻き回される役。
彼のあとから、こういう役はジェームス・スチュアートに移行していくんだろうか。走り回るケーリー・グラントを見ながら、スチュアートが見えた気がした!

この映画について愛を語りすぎたら案の定序盤で文字制限食らったので(←通常運転)、今度改めて長々とpostします。きもいです。でも好きなんです。愛が止まらなくてすいません

この映画はだれか観てほしいな~ 共有したい。
観た人いるのかな?今すぐ飲んで語りたい。